なぜか相手が心を開く人が口にする「ほんの一言」

Aさん:私たち、大学が一緒で、石川さんが1年生のとき、私が4年生でしたよね。
Bさん:おふたりは、先輩・後輩の間柄なんですね。

Bさん:おふたりは、先輩・後輩の間柄なんですね。初耳です!
 

「初耳です!」のほかにも、「そうだったんですか!」「びっくりです!」など、知らなかったことや、驚き、意外な気持ちを瞬間的に口にする言葉で、はっきり驚きを伝えることで、その後の会話が弾みます。実際に言ってみると実感できますが、あなた自身、「次」のひとことがスムーズに出てくるはずです。

知らなかったことに対して、人はつい、それらしい感想を考えたり、自分が知っていることや、自分のエピソードなどで話を続けようと無理をしてしまいがちです。でも、ここは「初耳です!」の勢いで、素直に相手に質問を投げかけるのが正解。例えば、「いつからお知り合いだったんですか?」「学生時代の強烈な思い出と言えばどんなことですか?」「サークルやゼミが一緒だったのですか?」といった具合です。

こうした言葉は、硬すぎず、ほどよくカジュアル。大切な仕事の場面で使うことはおすすめできませんが、場を「和ませる」効果は抜群です。

つい出てしまった「マジですか?」のフォローにも

先ほど「そうだったんですか!」「知りませんでした」「初耳です!」と、相手の話を知らなかった場合に使えるちょい足し言葉をご紹介しました。ただ、いずれもカジュアルなので、初対面の相手やクライアント、目上の人に対しては、「存じませんでした」を使いましょう。

Aさん:生まれたときから、祇園祭は欠かしたことがないよ。近所だったからね。
Bさん:根本部長は京都のご出身なのですね。

Bさん:根本部長は京都のご出身なのですね。存じませんでした。
 
『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

といった具合です。

「知りませんでした」は、友達同士で使う、「え、そうだったの? やだ、知らなかったー」といった雰囲気で使う表現が、単に「ですます」調に置き換わったイメージです。ですから、ビジネスの場面では「存じませんでした」と、謙譲語を使うのが適当です。

もうひとつ、この「存じませんでした」の裏ワザをお伝えしましょう。

仕事の場面で、つい「えっ、そうだったんですか! びっくりですね!」、あるいはとっさに「えっ、マジですか?」なんて言ってしまった経験はありませんか? 「しまった!」と冷や汗をかきますが、そんなときはすかさず、そのあとに「存じませんでした」をつけてフォローします。「えっ、マジですか?」も、そのあとに「存じませんでした」と言えば、かなり印象は変わります。覚えておくと便利ですよ。

どれもとくに難しい言葉ではありませんが、ほんのひとこと、会話の中で自然に加えるととても印象がよくなります。どれかひとつでも、さっそく実践してみてください。

(構成:三宅智佳)