要領のよさを決める「効果的な脳の使い方」とは

「要領がいい人」の脳の使い方とは?(写真:ふじよ/PIXTA)
「あの人は、いったい1日が何時間あるんだろう?」と思ってしまうほど、物事を段取りよくテキパキこなす人って、いますよね。「それに比べて自分は……」と頭を抱えてしまう経験がある人も多いでしょう。では「要領がいい・悪い」の違いとは何でしょうか?
国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事し、脳科学や認知心理学を駆使して、約1000件の企業研修で仕事のパフォーマンスを最大化するためのアドバイスを行ってきた作業療法士の菅原洋平さんは、「要領のよさとは、才能やセンスの問題ではない」と言います。「要領がいい人」は、ほんの少し、「脳の使い方」が違うだけ。その簡単なコツを、菅原さんの著作『「仕事が終わらない人生」が180度変わる 努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』より一部抜粋、再編集してお届けします。
 

あなたの脳の「型」はどっち?

なにかの作業を始めるとき、最初にぱっと浮かぶのは「いつものやり方」です。人の脳は、過去の経験則から先を予測することで、脳の省エネを図っています。

その意味ではとても便利な機能なのですが、客観的に見れば当たり前と思えるようなことに気づかずに、非効率な方法をやり続けてしまうことがあります。

脳には、その情報処理の仕方に「同時系」「継次系」という大きく2つの種類があります。私たちは、両方の処理系統を使っているのですが、どちらかに偏りがあり、それが「型」となって表れます。

要領がいい人になるためには、自分の脳の「型」を知ること。

まずは、あなたの「型」をチェックしてみましょう。

次の7つの設問のうち、AとBどちらの数が多いでしょうか?

Q1 初めての場所に行くならどうしますか?
A とりあえず行ってみる B 万全に下調べをする
 
Q2 なにか面白いことがあったらどう話しますか?
A 面白かったことから話す B 出来事の順番どおり話す
 
Q3 気になった本はどう読みますか?
A パラパラめくって面白そうなところから読む B 最初から読む
 
Q4 イベント係をするときはどう取り組みますか?
A 面白いアイデアを出す B やるべきことを書き出す
 
Q5 趣味の道具を買うときの選ぶポイントはなんですか?
A 見た目 B 機能性
 
Q6 お菓子を買って開けるときはどう開けますか?
A とりあえず開ける B 「開け口」という表示を見て手順どおり開ける
 
Q7 みんなでゲームをやるとして、どんな仕切りをしますか?
A まず盛り上げる B 目的や順番、それぞれの役割を決める

【Aが多かった人】

「同時系」という処理系統が優位に使われています。

この場合、まず完成イメージがビジュアルでぱっと浮かび、それに向かって進みながら考える戦略を得意とします。

そして、イメージが別のイメージと合わせられたり、別の情報でイメージが飾りつけられたりするので、情報の関連づけが得意です。

【Bが多かった人】

「継次系」という処理系統が優位に使われています。

この場合、やるべき課題を網羅して、その順序や前後関係を整理して進める戦略を得意とします。

脳の「型」が好むスタイルとは?

同時系と継次系に分かれる脳の処理系統は、日常の些細な場面に表れます。

●付箋の貼り方

「同時系」の人は、目についた文章や気に入ったフレーズにいろんな色の付箋をランダムで貼ります。面白かった本は付箋だらけになりますが、見返すときは付箋を目印には使わず、パラパラめくったりします。

一方で「継次系」の人は、見出しをつけるように付箋を貼ります。

色に統一性をもたせたり、章の冒頭に貼ったりして、見直すときは付箋を頼りにページをめくります。