どこでも食いっぱぐれない人が持つスキルの要点

ビジネスマン
先が見えない時代に活躍するためのスキルとは?(写真:8x10/PIXTA)
自分の会社は大丈夫だ。
「今のまま働き続けられる」と考えている人は意外と多いかもしれません。とはいえ、一寸先は闇。事業売却、撤退、倒産、リストラなど、何が起こるかわからないと想定しておくことも必要です。
そんな中でどんな状況においても、ビジネスパーソンが食いっぱぐれないためにはどうしたらいいか。それには「『求められる人』、いわゆる、『できる人』になること」と説くのはヤマハ創業家の子孫で、事業買収される側、買収する側の両方など6社の在籍経験を持ち、『誰とでもどこででも働ける 最強の仕事術』を著した山葉隆久氏。本書から一部抜粋、再構成してお届けします。
 

厚生労働省が推奨する汎用的スキル

人件費の圧縮をはかるため、近年は大手でも早期退職などを実施するようになりました。また、技術革新の早さに伴い時代の変化のスピードも上がっています。

そのため、収益をあげている部門に積極的に人員を配置転換する企業もあります。

突然の早期退職や部署異動があっても、自身のもっているスキルにより、結果を出すことが必要です。

しかし、これまで日本の多くの企業では、右肩上がりの成長を前提とした、年功序列型制度に基づく人事評価制度が運用されてきました。

変化が激しく、すべての産業が右肩上がりに成長していく前提が崩れている時代にどう働けばよいか、多くのビジネスパーソンにとってロールモデルが無いのが実態ではないでしょうか?

また、会社を取り巻く情勢の変化が大きくても、それに連れて社内の仕事の仕方が大きく変動する訳ではありません。同じ仕事を継続していると、勝手がわかってくるので、仕事の要領がわかり負荷は軽減します。結果をだす勘所もわかり、評価もされやすくなります。その結果、仕事の仕方を変えてみようとか、新しいことにトライしようという気持ちが薄らいでいくこともあるでしょう。 

変化の激しい時代に対応するといっても、どういったスキルを身につけなければならないのかを知らなければ、スキルを習得するために行動することは難しいと思います。

そのための指針が厚生労働省の推奨する「ポータブルスキル」です。

ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても持ち運びできるスキルを指します。

これは、経験豊富なミドル層人材の有効活用と、人材市場の活性化を期待した考え方です。図を作成させていただきましたが、ポータブルスキルは大きくは3つの構成要素で成り立っています。

ポータブルスキルの構成要素
(出所)『誰とでもどこででも働ける 最強の仕事術』(自由国民社)

(外部配信先では図などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

「専門技術・専門知識」と「仕事のし方」、「人との関わり方」です。

専門技術・専門知識は自社の業務を行う際に必要になるもので、たとえば、英語力や経理の知識などのことを指し、テクニカルスキルと言われています。

これ以外のスキルを「仕事のし方」、「人との関わり方」に分けてフレーム化しています。「仕事のし方」は「現状の把握」「課題の設定」「計画の立案」「課題の遂行」「状況への対応」の5点で、要約するとそれぞれ、必要な情報を収集する力、課題を特定する力、計画を立てる力、推進する力、予期せぬ状況に対応する力となります。

「人との関わり方」としては、上層部や関係部署に意見を通していく「社内対応力」、パートナー企業やお客様等を巻き込む「社外対応」力、チームや部下をまとめていく「部下マネジメント」力の3点です。

つまり、自社の専門的な技術や知識を吸収し、磨いていくことはもちろんのこと、それ以外に、仕事の遂行力、コミュニケーション能力を身につけているかが、大きく問われるということです。