日々の仕事の業量が大きく、まわりに目が向かないかもしれませんが、自身の仕事の生産性を高め、組織を円滑にまわしていくことを意識しなければ、ポータブルスキルは身につかないことがわかります。
経済産業省は社会人基礎力を提唱しています。
社会人基礎力とは、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、2006年に提唱されました。
人生100年時代であること、IoTやビッグデータに代表される第四次産業革命下であることから、社会人基礎力はその重要性を増しており、新たな社会に対応した切り口と視点が必要となってきました。
こうした状況を踏まえ、平成29年度に開催された「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力を「人生100年時代の社会人基礎力」と定義されました。
それによれば、「前に踏み出す力」とは、主体性、働きかけ力、実行力です。
ビジネス上の課題に前向きに対処する主体性を持ち、周囲に働きかけ、自身で試行錯誤しながら物事を進める、やり切る実行力を指します。
「考え抜く力」とは、課題発見力、計画力、創造力です。
課題発見をし、創造力を持って未来に向けて計画的に課題解決を行う力を指します。
「チームで働く力」とは、発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力です。周囲に対して自分の考えをわかりやすく発信し、多様な人とつながり、かつメンバーの感情にも配慮し、高い倫理観を持って自分自身もコントロールできるといったコミュニケーション面での力を指します。
新しい業務に取り組んだり、職場が変わったり、昇進で立場が変わったり、転職したり、働く環境の変化に応じて私たちは必要なスキルを習得しなくてはいけません。これを続けるためには、自らを振り返りながら足りないものを認識し、つねに学び続けなくてはいけません。この能力が社会人基礎力です。
そうはいっても、自分自身が早期退職や配置転換されることがイメージしづらいという人もいるかもしれません。そこで、ここではビジネスパーソンすべてにかかわる可能性のある変化を紹介します。それは定年後の雇用の変化です。
2021年4月施行の高年齢者雇用確保措置の内容を下に示します。
5つの措置が示されていて、③が再雇用制度です。④は業務委託契約の推進で、会社に雇用されて行っていた仕事を、会社から独立して業務委託で受けるということです。
措置をみてもわかるように、シニア世代が60代を超えても働くことを想定されています。
再雇用されるにあたっても、そして、業務委託契約として独立するにあたっても、仕事を続ける限り、結果を出すために学び続けることが必要です。
そして、そのためには、定年後にどういった組織で働くことになっても通用するスキルを習得しておく必要があり、それがポータブルスキル、社会人基礎力であると考えます。
これらの力を手に入れるために必要なことは目の前の仕事で成果をだすために最大限のアウトプットを出すことです。
そのアウトプットがポータブルスキルのどの部分にあたるのか、社会人基礎力に通ずるものなのか、しっかりと考え改善していくことで、変化に対応できるスキルが磨かれていくでしょう。