「新人が使えない」とぶった切る人の致命的ミス

このように教えてくれるはずだ。あらかじめ確認することで、自分自身と約束することにもなる。何かわからないことがあれば、田中さんに聞かなくちゃ、と思えるのだ。

一人よがりでやらないようにするためにも、想定外のことが起こったときの対処方法は必ず最初に聞いておこう。

「ズレ取りチェック」は、ズレがゼロになるまで続ける。

質問の切り口だけ覚えていたとしても、だいたい途中で、

「何となくわかりました。とりあえずやってみます」

と言ってしまうもの。だから、建物を作るイメージで「ズレ取り」を続けよう。

建物を作ると考えたら、

「なんとなくイメージがわかりました」「とりあえず、建ててみます」

とは言えないはずだ。フローチャートの条件分岐を、つねに頭に入れておいて、「ズレ=0」になるまで「ズレ取り」を続けるのだ。

「ムリです」「難しいです」と言う人へは?

「ズレ取り教育」は、仕事を依頼しても、

「ムリです」「難しいです」

と反射的に言う人にも効果的だ。「認識のズレ」があるから「ムリ」「難しい」と捉えている可能性が高いからである。

前述した、5つの切り口で質問し「ズレ取り」をしてこう。具体的には、

「もし引き受けるとしたら……」

と最初に言ってから、一つひとつ確認していく。

●どんな完成イメージか?
●いつ始めて、いつ終わるか? どれぐらい時間がかかるか?
●どんなやり方で進めるか? 手順は? 何を使うのか?
●誰と進めるか?
●この仕事の目的は何か?
 

考えることなく「ムリです」「難しいです」と言う人は、具体的な理由があって断っているケースは少ない。

「仕事がいっぱいで、とてもムリ」「まだ慣れていない自分には難しいに決まっている」

と、結論ありきで答えていることが多い。

だから「ズレ取り」を繰り返すことで、

「その期間で、この作業をするのなら、今の私でもできますね」「しかも、わからないことがあれば、吉田さんに相談していいみたいだし」「てっきりもっと大変な仕事かと思ってました」「新しい事業にもつながる仕事ですし、やってみます」

このように言ってくれるかもしれない。

「最初からムリだと決めつけずに、やってみろよ」

と押し付けず、「認識のズレ」を丁寧に、一つひとつ確認していこう。

新しく組織メンバーとして加わったときに「ズレ取り」のクセがつけば、あとは習慣化する。

多様性、オンライン化の時代だ。スピーディーに成果が求められる時代でもある。お互いの信頼関係をスムーズに構築するためにも、この時期に「ズレ取り教育」をしっかりやっておこう。