仕事ができない人は「たった一言」が添えられない

「A案とB案を作ってみたのですが、どちらの方が適切でしょうか?」

「私はこのように認識したのですが、この見解は正しいでしょうか?」

というように、“たたき台”として自分の考えを提示する一言を入れ、その上で「どちらがいいでしょうか」と相談するスタンスが大切です。

また、経験のない仕事を打診された時に、「できません」「無理です」と断るのも避けたいもの。経験は、やってみて初めて身につくので、「経験がないから」と断ってばかりいたら成長できません。それに、誠意や熱意が感じられないと否定的な評価をされてしまいます。

せっかく与えられたチャンスなら、それを活かすべく、「経験不足で不慣れですが、ぜひやらせていただきます。ご指導お願いいたします」と答えましょう。

つい「不安ですが」と言ってしまいがちですが、ネガティブな感情を伝えるのは避けた方がいいでしょう。それよりも、「経験不足で不慣れですが」と事実を伝えた上で、それでもやってみたいという意気込みとともに、「ご指導をお願いいたします」と協力をあおぎます。できないことをやるからこそ、協力者や味方を増やすチャンスでもあるのです。

上司は、「できる」ことを求めているわけではありません。「やってみたい」というチャレンジ精神と「がんばる」という意欲が欲しいのです。それが伝わる言葉をプラスすることで、信頼関係が築けることと思います。

“やるべきことをやってから休む”と双方にとって安心

コロナ禍を経て、「体調不良の時は無理せず休む」という(当たり前の)ことが、ようやく市民権を得てきたような気がします。これまでは、「多少熱があっても休めない」「体調不良くらいで仕事に穴をあけてはいけない」ということが熱意と誤解されていたふしがありますが、決してそんなことはありません。

体調不良の時に休むのは、働く人の権利です。遠慮する必要はありません。会社に連絡を入れる時も、本来ならば「体調が悪く、休みます」でかまわないのですが、たいていの場合は直属の上司に連絡をするので、「体調が悪く、休みをいただけますか?」と謙譲語を使うのが自然でしょう。

急きょ休みの連絡をする際には、その日に処理すべき案件の有無も合わせて伝えます。特に急ぎの案件がない場合は、「本日、特に急ぎの案件はございません」と付け加えると、上司も安心ですし、あなたへの信頼度が上がります。体調が悪い時は自分のことで精いっぱいになってしまうかもしれませんが、一言プラスすることで周囲に迷惑をかけずに済むのですから、ぜひ実践してみてください。

有給休暇の申請をする時は、「来週月曜日から3日間休暇を取りたいので、許可をいただけますか? 先日の研修レポートは今週の金曜日までに提出いたします」と伝えます。休暇前までに完了すべきタスクを把握していること、それを完了させてから休暇に入ることを伝えれば、あなたは気持ちよく休めますし、上司も気持ちよく休暇の承認ができることでしょう。

“やるべきことをやってから休む”という一言があるかないかで、今後の関係性も大きく変わるはずです。

出先から直帰連絡を入れる際も同様です。打ち合わせ等が長引き、就業時間を超えてしまうこともあるかと思います。直帰すること自体に問題はありません。ただ、上司に電話をして「本日は社に戻らずに、直帰してもよろしいでしょうか?」と言うのは、配慮に欠ける印象です。

多くの場合、その日の打ち合わせ内容について、社内で情報共有するための議事録作成が必要ではないでしょうか。そのことに触れず、「直帰してもよろしいでしょうか?」とだけ聞くのは、仕事として不十分とみなされる可能性が高いのです。