「頑張らない」からこそ人生は劇的に楽しくなる

「社会人時代と比べてストレスは100分の1になった」と語るデラさん(写真:サンクチュアリ出版提供)
仕事、人間関係、SNS……現代を生きる社会人は多くのストレスにさらされています。頑張ることで人生がプラスになればいいのですが、無理に頑張りすぎて心身をすり減らし、うつ病などの病気になってしまったら、元も子もありません。『うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと』の著者であるデラさん、『がんばらにゃい生きかた』の著者であるJamさんが、それぞれの実体験をもとに「頑張らない生き方」について対談しました。

「頑張らない生き方」をするようになったきっかけ

Jam:私の場合、好きなことを頑張るのは大好きなんです。自分がやりたいだけ頑張ってしまう。でも、昔はやりたくないことまで頑張ってしまっていました。まわりの期待に応えようとして無理をしたり、仕事がなくなることを恐れて気の進まない仕事を受けてしまったり……。

デラさん:わかります。ボクは就活生のときに「めちゃくちゃすごい人になってやろう!」と急にスイッチが入って、大学在学中にベンチャー企業に就職して1日15時間くらい働きました。世間から賞賛される有名起業家みたいに、120点の人生を歩もうとしていたんです。

結局、半年でうつ病になってしまったんですが、自分がボロボロになっていることにそれまで気づかなかった。まさに茹でガエル現象です。だんだん眠れなくなったり、頭が働かなくなったり、兆候はありましたが、なおさら「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまって。Jamさんはどうやって自分が頑張りすぎだと気づけたんですか?

Jam:無理をしすぎたせいで仕事で何度か大きな失敗をして、まわりの人を巻き込んでしまったことがきっかけですね。やっぱり人って失敗から学習する生きものですから。

でもいきなり「やりたくないことはやらない」と切り替えられたわけではなくて、人からの頼みを断ることに少しずつ慣れていった感じです。最初は「せっかく私に頼んでくれたのに」と罪悪感を感じましたが、徐々に断る数を増やして、大きい仕事も断ったりして。そのうち、自分が断っても代わりがいるということがわかって、そこから切り替えやすくなっていきましたね。

デラさん:「代わりがいる」と知ることって大事ですよね。ボクはうつ病になってからも「前の自分に戻りたい」「いま頑張らなきゃいつ頑張るんだ」と自分を追い込んでいましたが、どうしても体がついてこなくて、25歳のときに自殺しようとしました。でも、包丁でグサッとやろうとした瞬間、「痛そうだな」ってビビっちゃって。

こんな状況でも「生きたい」と思っている自分になんだか笑っちゃって、そこからですね。「死ぬこともできないならもう適当に生きよう」と割り切れるようになったのは。それ以来、赤点さえとらなければいいやと思って、自分をいかに消耗させないかということを最優先して生きています。

自分を消耗させる人間関係は見直してOK

Jam:120点を目指していた人生から、赤点を回避する人生に変わってみて、どうですか?

デラさん:最高。毎日楽しいです。会社員時代と比べたらストレスは100分の1くらい。社員5人のベンチャーだったんですが、いつもなんとなくギクシャクして気まずい雰囲気で、「別に話したくないけど、仕事のことを考えたら話したほうがいいか……」とか、自分の意思とは逆のことをしないといけないのがストレスでした。いまのボクなら、話したくなければ話さない。意思と行動がイコールなのでストレスがほぼないです。

Jam:「仕事がうまくいかなくなったら困るから」「嫌われるのが怖いから」と我慢して人間関係を続けるのは本当にしんどいですよね。でも、一度やめてみると意外と大丈夫だったり、別に嫌われてもいいかって思えたりする。私も人からの依頼を断ることができるようになってからは、自分が本当に描きたいものを描く時間ができて、毎日すごく楽しいです。