税務調査が入っても確定申告しなかった人の末路

フリーランスなら知っておきたい確定申告のポイント(写真:freeangle/PIXTA)
日本は申告納税制度を採用しています。勤務する会社が源泉徴収や年末調整をしてくれる会社員と異なり、フリーランスは自分で収入や所得、経費、控除などを申告します。この作業を「確定申告」と言います。確定申告に誤りや虚偽があると加算税が発生して負担が多くなる場合があるので、フリーランスになったら自主的に勉強するようにしましょう。
ということで今回は、確定申告時期に合わせ、『元国税芸人が教える! フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話』から、著者のさんきゅう倉田さんがフリーランスなら知っておきたい確定申告のポイントを紹介します。まずは、確定申告をしなかったために、税務調査に入られてしまったフリーランスの事例から見ていきましょう。

税務調査は何度でも

ぼくの知り合いのフリーのカメラマンOさん、55歳。40代前半から年収はずっと1000万円を超えています。技術も体力もあって、仕事は絶えません。

しかし、一度も確定申告をしていませんでした。直接話を聞くことはできませんでしたが、どうやら納税や申告に対する意識が希薄だったようです。

今から7年前、そんなOさんに税務調査が入りました。税務調査とは、申告内容が正しいかどうかを税務署が調査するものです。

一般的には、売り上げが急に伸びた人や売り上げが伸びたのに所得が変わらない人、不正が疑われる業種などに行われるとされていますが、どのような事業者でも調査を受ける可能性があります。収入が少なくても、いつかはやってくると思って、日々正しく帳簿をつけ、正しく申告しなければいけません。

税務調査の結果、Oさんは本来払うべき税金に加え、加算税と延滞税を納めることになりました。一度、税務調査の恐ろしさが理解できれば、税金の勉強をしたり、税理士さんと顧問契約を結んだりして、襟を正すと思いませんか。しかし、その後もOさんが確定申告をすることはありませんでした。

そして、あの前回調査から数年後、再び黒いスーツを身にまとった男性が税務署からやってきました。前回の調査で事業を行っていることはわかっています。それから申告した記録がなければ、再び来訪するのは当然です。

実は、一度不正が発見されると、その後再び調査が行われる可能性は高まります。なぜならば、税務調査で不正が発見されても、「よし、次からちゃんとやるぞ!」とはならない場合が多いから。

調査の結果、Oさんは再び、適正に申告をしていたら支払わなくてよかった加算税や延滞税を納めたそうです。

会社員は確定申告が不要なのはなぜ?

納税は国民の義務。それは、会社員もフリーランスも同じです。働いて収入を得ている人たちは所得税と住民税を納めます。

しかし、フリーランスと異なり、会社員は毎年確定申告をするわけではありません。

なぜならば、勤務先の会社が毎月の給料から所得税や住民税を天引きし、1年間の収入や社会保険料などがわかる年末に、年末調整を行って差額を還付することで、確定申告が不要となっているからです。

ただし、出産やレーシック手術で医療費控除を受けるとか、家を買って住宅ローン控除を受けるとかいった場合には、会社員でも確定申告が必要になります。

一方で、フリーランスは毎年確定申告をします。以前と比べると、申告はとてもラクになりました。国税庁ホームページにある「確定申告書等作成コーナー」で自宅から申告ができるし、マネーフォワードやfreeeの登場で売り上げや経費などの記録も簡便になりました。

申告そのものの複雑さは、正しい納税を阻みます。これらのシステムがさらに進歩して、確定申告が平易になることを願っています。