今回インタビューした東京都在住の女子大学生は「昔のドラマで見たようなレトロでかわいい雑貨がいっぱいあり、その場にいるだけで楽しめた。SNS映えしながら社会貢献もできるところがいい」とポップアップを楽しんでいた。
2022年6月に東急大井町線 等々力駅にオープンした、SDGsをテーマにした駅ナカ売店、「Hanako Stand Todoroki」。マガジンハウスのライフスタイル誌『Hanako』がプロデュースをしている。
売店では『Hanako』に掲載された商品や、『Hanako』編集部がセレクトしたファッション、生活用品、雑誌、コスメ、季節商品など多ジャンルから約300点の商品を販売している。
コンセプトは“毎日に、ちょっとよい未来の選択を”。お出かけついでにちょっと立ち寄るなど、普段使いのできる場所として、サステイナビリティー意識のきっかけ作りに貢献している。
店舗は駅舎の廃材を使用しているうえ、優しい色味のレトロなデザインになっている。駅舎という場所と店舗のレトロな雰囲気のおかげで、Z世代も気軽にサステイナブルな商品と触れることができる。
取材した東京都在住の男子大学生は、「サステイナブルを全面に押し出した店というのは、意識が高い人しかいないイメージが強く入店しづらかった。HANAKO STANDはレトロでかわいらしい印象で、駅ナカにあるのもあり気軽に利用できるのが魅力」と語っていた。
以上、さまざまな「サステナレトロ」商品について紹介した。
サステイナビリティーへの意識が高いことを自己ブランディングの一環としてSNSで発信する若者も多い。一方で、あからさまな意識の高さはZ世代の間で敬遠される傾向にある。だからこそ、流行を取り入れつつも、さりげなく自分の「意識の高さ」をアピールできる「サステナレトロ」がZ世代にはほどよいといえるのかもしれない。
現役大学生のレポートはいかがでしたでしょうか。私の調査によると、Z世代のサステイナブル等の社会意識はあまり高くないことがわかっています。
もちろん、文中に現役大学生が書いてくれたように、ごく一部の若者の間では、サステイナブルに関する発信を自己ブランディングとしている人もいますが、決してマジョリティーではありません。
Z世代の多くは、このサステイナブルは、自分世代よりむしろ大人が興味を持っているものだと認識していることもわかっています。
Z世代が興味を持っている社会テーマは、自分が利用する商品に関するもの、友人や同世代の悩みに関するもの等「自分に身近なもの」。
例えば、「SHEIN労働環境問題」「飲食店の紙ストロー」 「インフルエンサーの誹謗中傷問題」「セクハラ・パワハラ問題」「奨学金問題」「LGBTQ」(公にする友人やインフルエンサーも多い)「生理中用バスボム批判」(生理中に経血が気になって湯船につかれない悩みを解決する入浴剤。販売会社が悪趣味すぎるとたたかれている)などがそれに該当します。
しかし、多くのZ世代があまり関心を持っていない「サステイナブル」も、Z世代の多くが関心を持つ「レトロ」と掛け算されると、彼らにとって新しい魅力的な概念になったのだと思います。
今後、大人が思っているほど社会意識が高くないZ世代の社会意識を高めるためにも、企業にはCSR活動として、SDGsなどの取り組みと、Z世代のトレンドを掛け合わせることが必要となっているかもしれません。逆に言うと、こうしたCSR活動を行わないと、少なくともZ世代の多くには届かない企業活動となってしまう可能性が大きいと言えます。