「そのシャツ、かわいいですね」「いえいえ、そんな……」
「ほんと、お若いですね」「いや、そんなことありませんよ……」
ほめられたときに素直に認めると、「偉そうと思われるのでは?」と心配になる人も多いようです。
とはいえ、相手がせっかくほめてくれているのに「いやいや」「そんなことないです」と否定し続けるのは、かえって失礼になる場合もあるでしょう。
そもそも相手は「本気でほめたい」と思ってほめているとは限りません。むしろ、会話のきっかけであったり、潤滑油であったりする場合も少なくないのです。それなのに、ほめられたことを真に受けて「とんでもないです!」などといちいち謙遜していては、「別にそこまでほめたつもりはないけど……」とかえってめんどくさがられるかもしれません。
では、どういうリアクションが「得」なのでしょうか? 例えば、ほめられたら「話を広げる」というのはどうでしょうか?
例えば「その服、すてきですね」と言われたら「同じのを3枚持ってるんですよ」「これ、セールで買ったんです」「○○っていうブランドなんです」とリアクションしてみましょう。
すると、「へえ、どちらのお店で買われたんですか?」「あ、もうセールの季節ですね」などと会話が始まるでしょう。
「ほめられる」のと同じように、反応に困るのが「趣味は何ですか?」という質問ではないでしょうか?
これも、会話のきっかけに過ぎません。かならずしも本当の趣味を答える必要はないのです。「映画は観るけど、趣味とまでは言えない。どうしようかな?」などと余計なことは考えなくていいのです。
「趣味は何ですか?」への答え方のコツとして、3パターンほど紹介しましょう。
1つ目は過去の話をすることです。「よくバレーボールをやってました」「高校のときはよく本を読んでました」といった具合です。
2つ目は未来の話をすることです。「今年はサーフィンに挑戦しようかと」「登山に興味があるんです」といった具合です。
3つ目は最近の話をすることです。「先週、テニスをしました」「昨日、釣りに行ってきました」といった具合です。
どれも、そのまま「趣味」ではないのですが、「なんでちゃんと趣味を答えてくれないんだろう」と思う人はいないでしょう。
「バレーボールやられてたんですね。最近はやられてないんですか?」
「釣りに行かれたんですね。どちらですか?」
などと会話が続いていくはずです。
「ほめ」も「趣味」もコミュニケーションの潤滑油、会話のきっかけに過ぎない。そのことを覚えておきましょう。そうすれば、「ほめられた、どう返そう……」「趣味なんてない。どうしよう……」などと困ることはなくなるはずです。