YouTubeにテレビ並みの番組がやたら増えた理由

番組型が増え、スポンサーとして入る企業が増加

こうした番組型動画が増えることで、YouTuberへの広告出稿の形にも変化が起きています。

これまでのYouTuberの企業広告は動画内で商品をレコメンドするのが一般的でしたが、番組型動画が増えてきたことで番組スポンサーという形での企業参戦がはじまりました。

例えば「BreakingDown」にはRPGゲームアプリの「喧嘩道」がメインスポンサーとしてついており、動画内でインフォマーシャルとしてアプリを宣伝しています。また、人気格闘家のキャラをゲーム内に登場させるなど、積極的な番組コラボも行っています。

「BACHELOR JP」ではスポンサーについているファッションアプリ「amood」のアイテムを番組内で着用しており、「下剋上!!」ではカジノアプリの「カジノ・レオ」がスポンサーについています。日本のテレビには明確な放送規定があり、スポンサーの商品を番組内に登場させ宣伝するのは違反となってしまいますが、YouTubeでは広告であることを明記すればOKなため、テレビではできない広告手法がとれます。

また、スポンサーがつくことで番組の存続やクオリティアップに繋がることが視聴者にも明確に伝わっており、広告=ネガティブなもの、とは捉えられていない印象です。実際に番組の最後にスポンサー募集を呼びかける動画も多く、広告があることをきっぱり伝えたほうが好感度にも繋がるようです。

人気YouTuberが番組を作る流れはさらに加速していくと予測され、それに伴いスポンサー企業の業種も増えることが想定されます。今後企業が広告出稿を行う際はこれまでのようなレコメンド型に加え、番組型動画へのインフォマーシャルも検討する余地がありそうです。

また、レコメンド型の動画で今年大盛り上がりを見せたのはオンライン通販サイト「SHEIN」です。
「SHEIN」は中国発のファストファッションブランドで、プチプラのアイテムを洋服・アクセサリーからインテリア小物まで60万点以上の商品を販売しています。

「SHEIN」は2021年頃からZ世代を中心にSNSで話題になり始め、今年にはYouTuberやAbemaTVを使った動画での提供を盛んに行っていました。「SHEIN」は商品数がとにかく多いため、どんなアイテムがあるのか知りたい、ネットでよくみるけど実際どうなの、といった疑問に対して、動画で着用した様子や使用感などを知ることができるため案件動画でも再生回数が回るといった現象が起きました。

再生回数が回ると、「SHEIN」動画はおすすめにのりやすいコンテンツとなり、案件でなくてもYouTuberたちが「SHEIN」購入動画を作るようになる、という上手な流れが起きていました。

YouTubeショートでの切り抜き動画がトレンドを作る?

2022年のトレンドとしてもう1つお伝えすべき大きな波は、ショート動画です。

前回の記事(TikTokとYouTube「縦型動画」使いこなす必勝法/9月20日配信)でもお伝えしたように、YouTubeショートがTikTokとともに人気となってきています。

ショートに特化したクリエイターも次々に登場しています。その流れにも変化が見え始め、これまでのショート動画クリエイターは動画がハイクオリティで「単体で見ても面白い」という形式でしたが、チャンネル自体にストーリーがあり、そのストーリーに共感してファンになる、という形式が登場し始めました。

代表的なクリエイターは、「ひみつ基地。」という2人組の男性クリエイターで、都会に住んでいた2人が田舎で古民家を立てDIYをしたり、料理をしたりする様子を配信しています。古民家をアップデートしていく様子を少しずつ見せるなど、チャンネルにストーリーがあり、そこにファンがついています。今年の7月から急激に伸び始め、9月のYouTube月間チャンネル登録者ランキングでは13位にランクインしています。