コロナ禍で、導入がいっきに広がったリモートワーク。
「自由な働き方」ができると社員にはおおむね好評ですが、その機に乗じて、「働かない給料泥棒社員」が爆増しています。
「社員間のコミュニケーションの欠如」や「企業としてのイノベーションの欠落」など、「戦略性なきリモートワークの継続」がこれから日本経済に深刻な影を落とす可能性があります。
「リモートワークの影」に迫ってみましょう。
一部上場の大企業で働く50代のTさんは、コロナが始まり、リモートワークが導入されてから、会社にはこの2年間、ほぼ行っていません。
某有名国立大学を卒業した超インテリで、調査などを得意としていますが、出世競争からは外れています。
部内では「部長→現役バリバリ社員」の連絡ルートには入っていないこともあり、部内の定例会議以外、ほとんど他の部員や部外の人と話すことがありません。
コロナ前は出勤すれば、誰かの目にとまり、仕事を依頼されることもあったのですが、リモートになってからは、その存在がほかの社員の視界から消え、まさに「幽霊社員」。
仕事量は激減し、評価も給料も下がりましたが、クビになることはありませんから、この調子で、「最低限の仕事量」で、通勤もない今のラクな状況を続け、定年まで勤めあげることを目標に、「幽遊ライフ」を満喫中です。
超大手精密機械企業の40代の管理職の女性は、30代男性部下の「ただ乗り社員ぶり」に頭を痛めています。
上司の彼女はほぼフル出勤ですが、部下は基本的にすべてリモート。仕事は「ミニマムの量」をこなし、そのクオリティーも満足のいくものとは言えません。
リモートの会議などでも、「子どもをあやしているので」などという言い訳で、顔も音声もオフのまま。
せめて、オンラインでは顔を突き合わせて、話をしたいものですが、「『カメラをオンに』と言えば、パワハラになるのでは」と言い出せません。
ずっと顔を合わせていないので、「じっくり話して、理解し合う、チームとしての一体感を醸成する」などといった機会もなく、結果的に部全体の士気も業績も高まらないまま。
必死で自分は働いているのに、「働かない部下」はラクをしているという不平等感にさいなまれる日々です。
コロナ禍で、日本企業にタナボタのように降ってきた「リモート」という選択肢ですが、「自由度や裁量を高める」というメリットは非常に大きく、働きやすくなったという人は多いでしょう。