このような試算は机上の空論だが、もし半分の従業員を解雇しても同等の収益を上げられれば当然ながら利益もキャッシュフローも劇的に改善することになる。
クールに語るのであれば、次のようになるだろう。
これまでのコスト構造が続けば、人件費が大半を占めるため、このままでは黒字化もキャッシュフローの向上も難しい。そこで企業価値アップのために人件費にメスを入れるのは必然だった、と。
もしTwitterの業績が改善すれば、今回解雇した人材の再雇用も考えられる。それは、これまでTwitter社に尽力してきた従業員の努力を無視してきた言い方に聞こえるかもしれない。実際には、突如解雇されたことによって、生活が不安定になってしまう従業員の方々もたくさんいるだろう。そこは前述のように法律問題に発展するケースもあるはずだ。また退職の条件交渉なども水面下で行われているに違いない。
それにしてもなんということだろうか。確かに日本企業の中にも、人件費が重荷になっている企業があるとして、その人件費を削減すれば改革できると思っている日本の経営者はたくさんいる。とはいえ、退職割増金を加算したとしてもリストラを進めるということには、さまざまな困難が伴う。倫理的にも躊躇がある。
非上場企業であれば、解雇は日常茶飯事であり、かつ訴訟があっても、ほとんどの場合に解雇は問題にならない。ただ、Twitterほどの有名な企業であれば通常は、なかなかここまで大規模で大胆な解雇に踏み切れないはずだ。
ところで、今回の解雇についてざっとSNSを見る限り、声をあげているTwitter従業員の方の中には、不当だと怒りをぶつけるものがあるいっぽうで、私の知り合いは奇妙なほどさっぱりとした明るさに満ちていた。ワインを飲みながら自身や所属するチームの激務をねぎらう投稿もあった。これはアメリカ企業で働く方々の覚悟の表れだろうか。
イーロン・マスク氏の意図はわかる。だが、これ以降の業績はどうなるか。Twitterユーザーのわれわれも気になる問題だ。