「金融」は教科書的な知識とは異なるベクトルを向いています。リアルな経済や株価は、ときに生き物のような動きをみせます。決まった答えを当てる「受験勉強」と違い、金融市場は「リアルな現場」を見て、自分で答えを出さなくてはいけません。とくに資産運用における売り買いの判断は私に委ねられていたため、自ら市況を判断し、意思決定しなければなりませんでした。
学生時代に、そんな脳みその使い方をしてこなかった私は、最初は戸惑いました。経済学の知識や理論を頭に詰め込んでも、「今売る(買う)べきなのか」的確な判断ができなかったのです。この経験が、半ば強制的に私を「学び直し」に向かわせました。
「趣味(教養)としての勉強 」と「実践の勉強」を分けて考える。これも、社会人が勉強を始めるにあたり意識しておかなくてはならないことです。「実践の勉強」とは主に以下の4つです。
・専門的な新聞・雑誌・本を読む (基礎のインプット)
・仕事に関連する人に会う、現場に行く、モノに触れる (現場でのインプット)
・仕事現場で出会った人のやり方をマネして、マネを超える (現場の再現)
・自分だけの切り口を持つ (独自性を持つ)
いずれも私が経済アナリストとして呼吸をするようにやっていることであり、私の周りの優秀なビジネスパーソンや「お金持ち」たちも習慣づけています。この中の1つでも、自分の学びに加えて、人生と仕事の充実を図ってみてください。知らず知らずのうちに、収入がついてくるはずです。
私はお金儲けにそこまで興味はなく、世の中に必要とされたいという「承認欲求」のほうが強いのですが、勉強を続けていたら収入はどんどん上がっていきました。自分の血となり肉となった知識と経験は、誰からも盗まれない「あなただけの価値」です。 その価値が高まれば自然と報酬はついてきます。
私は仕事のギャラ交渉を一切しません。「アウトプットの価値は世の中が決める、相手が決める」と思っているからです。
誠実な仕事をしていれば相手からの提示額が上がっていくだけでなく、付き合う人も自然に変わっていきます。自分の価値を正当に評価してくれる人と付き合うのは、収入を上げるうえで最も大事なことの1つと言えます。
人間は承認欲求を持つ動物です。勉強で学んだ知識が誰かのためになり、そこからのアウトプットが評価されれば嬉しいものです。その小さな成功体験が「もっと勉強しよう」という意欲をもたらします。
「マズローの欲求5段階説」では、人間の欲求は「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5つの階層に分かれています。それで言うと、勉強によって「承認欲求」と「自己実現の欲求」という最上位2つの欲求が満たされます。小さな成功体験を重ねれば、勉強が楽しくなるサイクルを生み出せます。
ビジネスシーンで誰かのために勉強をしている人は必ず収入がアップしています。 そして勉強が習慣として身についています。なぜなら彼らは勉強するほど自己表現がうまくなり、その先に成功体験が待っていることを知っているからです。
過去に多くの社長対談を行ってきましたが、成功を収めた経営者や優秀なビジネスパーソンは、貪欲に、そして謙虚な姿勢をもって学び続けています。逆に、「過信」や「驕り」が垣間見えて勉強を怠った結果、その企業の成長が止まったり、評判が悪くなったりした経営者にも多く出会いました。
「誰かのため」に勉強するといっても、そのような「目的」がないという人がほとんどではないでしょうか。そこで、勉強の「目的」が簡単に見つかる方法をお伝えします。「周りの人に喜んでもらえることは何だろう?」と想像して、それを実際にやってみてください。