と考えているということのようです。
なぜ、ここまで、マスクを外すことに抵抗感を覚えるのでしょうか。
もちろん、「新型コロナやインフルエンザ等の感染拡大を防止するという効果がある」ということが、まず大きな要因ですが、「マスク着用」にはデメリットも少なくありません。
最も大きいデメリットが、「円滑なコミュニケーションが阻害されやすい」ことです。
シドニー大学音声研究所の研究によると、マスクをすると、とくに1000Hz(ヘルツ)以上の高い周波数を持つ音、つまり、子音が伝わりづらくなることがわかりました。
また、スペインの大西洋ヨーロッパ大学の研究によれば、マスク装着時には、「怒り」「悲しみ」「恐れ」などの感情を認識しづらくなることが明らかになりました。
「声が聞き取りづらくなる」「表情が見えなくなり、感情が伝わりにくくなる」わけで、コミュニケーション自体が難しくなります。
そして、さらに心配されるのが「マスク依存症」です。
「マスクを外して、顔を見せること自体ができない、不安になる」等の症状を覚える人が多くなっています。
最近では、とくに小さいころからマスクをつけつづけてきたこともあって、外すことに抵抗感を覚えるという子どもが激増しています。
冒頭の調査結果にもあるように、顔を見せて話す場を極力避けるという人も少なくなく、「親密な関係」が築きづらくなる、対人関係に支障をきたす可能性も大いにあります。
こうした「深刻な副作用」がある一方で、日本では、今後、コロナの感染が落ち着いたとしても、いっせいにマスクを外すという状態には戻りにくいかもしれません。
というのも、日本人を「マスク信仰」に駆り立てる「6つの要因」があるからです。
まず1つめに、日本人の徹底したリスク回避志向です。
転職よりも終身雇用や投資よりも貯蓄といったように、日本人のリスクを極端に恐れる「ゼロリスク」志向は、
新型コロナに対しても、15カ国を対象にした国際調査で、「
2つめが、日本人と欧米人のコミュニケーションのスタイルの違いです。「日本人は『目』で、欧米人は『口』で表情を判断する」という興味深い研究結果があります。
北海道大学の結城雅樹教授は、他人の感情を表情から読み取ろうとするとき、「日本人は『相手の目』を見るが、アメリカ人は『相手の口』を見る」ということを世界で初めて実証しました。
実際、笑顔は、「欧米の絵文字」では「口」が笑っていますが、「日本の絵文字」では「目の表情」で表現されています。
そして、この「目を見る」傾向は、幼少期から始まっていることも研究で明らかになっています。
ですから、口をマスクで覆われたとしても、欧米人ほど支障はない可能性があるわけです。
3つめが、同じくコミュニケーションに与える影響です。
先ほど、マスクをすると、とくに高周波の子音が聞き取りにくくなるというシドニー大学の研究がありましたが、英語の多くが「p」「t」「k」「f」「s」「sh」といった高周波の子音で構成されているのに対し、日本語は子音と低周波の「あいうえお」の母音の組み合わせです。