『ユーモアは最強の武器である:スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』は、弊社と近い価値観であり、共感できることが多い1冊でした。
人材コンサルのロジックと掛け合わせて、260社以上に導入してきた弊社の理論は、まさに本書に書かれているような内容から得られたものです。
いま、「誰と働くか」は、とても重要になっています。自分の職場だけでなく、お客さんから見ても同じです。月に1度、1時間の商談の時間を誰と過ごしたいか。そこでユーモアがあると、「一緒に働きたい」と選ばれる効果が高まると思います。
笑いは交渉を有利に導くものであり、美術品の購入価格の交渉で、平均18%高い金額がついたと書かれていましたが、弊社にも研究データがあります。
営業パーソン向けに、お客様の心をつかむ「アイスブレイク」という手法をお伝えしていますが、この手法を伝えた人と、伝えていない人、それぞれ100人に営業に出てもらうと、伝えた営業担当者の成約率が、平均9ポイント高くなったのです。
笑いには、信頼関係を構築する力がありますよね。みんなが持っている「面白い」という感情で、人と人とを結びつけるのがユーモアのパワーだと思います。
弊社では、アイスブレイク(つかみ)として、B5サイズの巨大な名刺を出しています。
「デカッ」となりますよね。名刺入れにも入らない大きな名刺ですが、ここでリアクションがない人は、基本的にユーモアが通じませんので、弊社とお取引する可能性が低いことがうかがえます。
ですので、こちらから積極的に営業をすることを避けます。すると、効率が上がり、巨大名刺を使用していなかった時期よりも、受注率が2.5倍ぐらいにまで上がりました。ユーモアは、相手の選定基準にもなりうるわけです。
ユーモアを面白がれるかどうかも大事ということですね。本書でいう「陽気のマインドセット」です。しかし、日本のほとんどの企業には、ユーモアを感じる場面が少ないです。
僕は、2012年にお笑い芸人から転職し、人事のコンサル会社に入りましたが、そのときに強い違和感を感じました。会議でボケてみたら、怒られたのです。それまでは、ボケて褒められていましたから、びっくりしました(笑)。
その後、コンサルとしていろんな会社の会議に参加しましたが、ふざけている人はいませんでした。そういう人は、「仕事ができない奴」というレッテルを貼られてしまう傾向があります。