議論のない会議は「リーダーの責任」である理由

みんながムダだと思っている会議を続けると、参加している人の時間をムダに使うことになりますし、精神的なストレスを高めることにもなります。

ただし、終わらせるときにそのまま解散してしまうと、次回の開催までに時間が空いてしまうことが多いので、必ず次回のスケジュールを決めてから解散しましょう。その場で決められない場合は、スケジュール調整する人をアサインしてください。

そして、次回までに誰が何の準備をするかを明確にします。これで、次回は準備不足の会議が始まることがなくなります。

効果はプロジェクト全体に波及する

30秒でムダな会議をやめると、プロジェクトにいい効果が表れます。

1つは、目先のムダな時間がなくなるということです。炎上プロジェクトではムダな時間はできるだけ排除しておきたいものです。

もう1つは、リーダーの評価が上がります。みんながムダだと思っている会議をスパッと終了させられるリーダーである、という評価を得られます。会議だけでなく局面局面で的確な決断ができるリーダーだ、というように思われるのです。 

また、次第に会議の質が上がっていく、という効果もあります。これは即効的なものではありませんが、「会議の準備をしっかりしなければ」、という意識が植え付けられるからです。

実際に私は、それぞれのプロジェクトで「今度の会議ですが、準備が十分でないのでリスケさせてください」とあらかじめいわれることが増えるようになりました。リスケするときは開催前にリスケができて効率的ですし、意識が高まることでリスケ自体も減っていきました。

ただ、会議の準備は重要ですが、過剰な準備を推奨しているわけではありません。場合によっては5分の準備で十分ですし、しっかりと時間をかけて準備しないといけないこともあります。会議の目的に沿った適切な準備をしましょう。

時間をかけすぎているメンバーがいたら、準備ハードルを下げてあげるのもリーダーの役割です。きれいな資料を10枚も作れば2時間はかかります。「報告のための準備時間はもったいないから、ありものの資料でやろうよ」「きれいな資料はいらないよ」といってあげます。

最後に1点。お客様との会議や、自分よりも上位者が主催の会議では、さすがに自分の裁量で会議を中止にできない場合もあります。それは仕方がありません。そこは諦める、というのも必要です。ですが、自分のパワーコントロールの範囲でリセットできるときはやっておきましょう。

社内定例を危険にさらす「お客様との会議」に注意

プロジェクト内部の定例会議が続かなくなることがよくあります。朝会、進捗報告会、課題検討会などの定例会議です。これらの定例会議は、プロジェクトのリスタートを切るときに見直して、実施すると決めた定例会議です。つまり、リカバリプロジェクトとして必要だと判断した定例会議です。

それがどのように続かなくなるかというと、その定例会議と同じ時間に別の会議が入ったり、急な優先作業が入ったり、という理由で参加する頻度や人数が減っていくパターンがいちばん多いです。

そして、いつの間にか定例会議が開催されなくなったり、開催されても少人数で意味をなさない会議になったりします。

なぜこのようなパターンに陥るかというと、プロジェクトメンバーはプロジェクト内の定例会議に出たくない、という心理状態になっているからです。

朝会や進捗報告では、基本的にいい報告はあまりありません。炎上しているので進捗も順調でないことが多く、課題も多いからです。そのような報告は気持ちも前向きになれず、できれば避けたいと思ってしまいます。それ自体は通常の心理的反応でしょう。