会社にとってヤバい客を見分ける4つのポイント

クレームをつける夫婦
起業を成功に導く基本原則でもあります(写真:fizkes/PIXTA)
起業から15年後の企業の生存率は、スタートアップ大国アメリカにおいても25 %にも満たないという。そのような中で「全米で読み継がれる伝説の教科書」と言われる『起業マインド100』の著者ケヴィン・D・ジョンソンは20代大学生で起業し、さまざまな企業を立ち上げた連続起業家であり、自らのマーケティングとコミュニケーション企業ジョンソン・メディアを社長として数百万ドル規模の会社に育て上げた。
本書より起業を成功に導く基本原則を3回にわたって連載。最終回をお届けする。

潜在顧客はすべて取り込むべきか

ビジネスを始めた起業家の大半は、獲得できる顧客をすべて手に入れようとする。こうした姿勢のことを考えると、私は小学生のときにバスケットボールの試合でしゃにむに点をとろうとしたときのことを思い出す。私はほとんど試合に出られない未熟な補欠だったため、ようやく試合に出られると、やたらとシュートを打った。

シュートを打てば打つほど、点をとって成功する可能性も上がる。総得点もチーム戦術も気にしていなかった。私はめったに点をとれず、パニックに陥っているかのように、この上なく見苦しい無様なシュートを打った。ボールをもらいシュートを打つことに気持ちが向きすぎていたため、一度、自殺点を決めてしまったこともある。

これと同じように、起業家もあらゆる潜在顧客を獲得しようとして無謀な挑戦をし、自社やチームに損害を与えることが多い。

赤字を生む客

経験を積んだ起業家はみな、いうなれば、自殺点をしてしまったことがある。つまり、自分たちを利用する顧客がいて、それを許してしまうのだ。場合によっては、こうした状況もまったく問題ないが、赤字になっているとしたら理想的とはいえない。

後戻りできない時点になって初めて、この望ましくない状況は避けられたのではないか、こうした顧客をやりすごすことができたのではないか、と気がつくことが少なくない。

顧客を見送る決断をするのは、ビジネスと収益に飢えている若くて新参の起業家には特に難しいことだ。だが、悪い顧客をつかんでしまうと、欲求不満が募り、リソースを使い果たし、評判が下がり、結局、倒産に追い込まれることになる。

どのような顧客に時間をかける価値があるのか、それを判断するために、4つの重要なサインを紹介しよう。

それによって、ある顧客から距離をとり、潔く関係を断ったほうがいいかがわかる。とりわけサービスを中心とした事業やコンサルタント業の起業家には、こうしたサインがあてはまる。

1.必要なものがわかっていなかったり頻繁に変更したりする顧客は疑ってかかる

たとえば、ウェブデザインやグラフィックデザインの会社を経営しているのならば、制作のプロセスとそのプロジェクトにかかる時間をはっきりと説明しよう。あらゆる可能性を数字で明確に表すのだ。

場合によってデザイナーは、3パターンの試作品の制作に応じるかもしれない。そのあと、クライアントはその3つのなかから選ぶことになる。何度となくデザインや制作をして、10回目でクライアントに決めてもらうような状況は絶対に避けなければならない。また、顧客の能力や期待するものに満足するクライアントのほうがいい。新しいクライアントがあなたの作品のどこに魅力を感じたのかを明らかにしよう。ポートフォリオも見せよう。

2.時給や単価などでの支払いを渋る顧客には気をつけよう

特定の仕事に対して決められた報酬が支払われることに同意するのは、本来悪いことではない。しかし、予想したよりも作業量が増えた場合は望ましくない。多くのクライアントは、自分に割のいいレートを確定するためにコストを下げようとする。