「ジョブ型雇用」を導入する企業が増えています。
「ジョブ型雇用」とは、職務やスキルを明確にして採用や評価を行う欧米型の人事制度で、日本における従来の人事制度とは大きく異なります。日本型の雇用制度は「メンバーシップ型」と呼ばれるもので、その本質は次の2点にありました。
「タテ社会」は社会人類学者の中根千枝さんが提起した、昇進や出世といった組織内での上下の序列がきわめて重要な機能を持つという概念です。
その結果、「閉鎖的な集団主義」となり、その中に所属していれば安心を保証してくれる「安心社会」となるわけです。
しかし、これからの「ジョブ型雇用」では、これとは真逆の
に転換します。「ヨコ社会」は、会社という枠組みを超えたさまざまなつながり、交流が求められます。そしてそこには、閉鎖的な「安心社会」ではなく、他者と信頼し合い、協力関係を築く「信頼社会」が築かれます。
ちなみに、「信頼社会」「安心社会」という概念は、社会心理学者の山岸俊男さんが提唱したものです。
日本は明らかに、従来の「タテ社会・安心社会」から「ヨコ社会・信頼社会」へと変わりつつあります。
そして、そこで生き抜くために欠かせない能力が4つあるのです。
ひとつめの能力は、「『人間関係感知能力』が高いかどうか」ということです。
閉鎖的な「安心社会」では、「人間関係感知能力」が求められてきました。
「人間関係感知能力」とは、「自分が属している集団の内部で誰が最も力を持っているか」「誰と誰の仲がよくて、誰と誰の仲が悪いのか」「自分はまわりからどう思われているか」「誰と付き合うことが最も安心をもたらしてくれるか」……といった「人間同士の関係性を感知する能力」です。
若い世代は、「空気を読む」ことを重要視し、自分がどう思われるかを気にして、その場の雰囲気を乱さない言動をとる傾向が強まっているといわれますが、これはまさに「人間関係感知能力」です。
一方、「信頼社会」は、開放的で、他者と信頼し合い、協力関係を構築することで成り立ちます。
「開かれた人間関係」の中で多様な人たちと信頼関係を結び、関係性を広げていくためには、たくさんの人と会い、積極的にコミュニケーションをとらなければいけません。