この先、「生き残れる人」に共通する超納得4大能力

その際、だまされるなどのトラブルを予防するため、「はじめて会った人」でも信頼できるかどうかを感知する「人間関係感知能力」を身につける必要があるのです。

2つめは、「『ビジョンやミッション』を重視しているかどうか」です。

【能力2】「ビジョンやミッション」を重視しているかどうか

中国で日系企業の中国人管理職の研修を手がけている日本の人材育成支援企業で聞いた、印象的な話があります。

中国人のマネージャークラスは、自社のビジョンやミッションへの渇望感が非常に強いそうです。

彼らは「自社が優れたビジョンやミッションを掲げ、社会的使命を果たしている」という納得感があるからこそ、誇りを持って外に出て、多様な人たちと信頼関係を結び、関係性を広げていけると考えるのです。

ところが「安心社会」に染まった日本人のトップは、ビジョンやミッションに対する関心が低いため、中国人のマネージャーたちは不安になるそうです。

開かれた「信頼社会」を目指すなら、自らのビジョンやミッションを掲げることが大切です。外に対して遠心力を常に働かせ、「腹落ちできるビジョンやミッション」によって求心力を高めることができるからです。

「人的ネットワーク」は開いている?閉じている?

3つめは、「『人的ネットワーク』が開いているかどうか」ということです。

【能力3】「人的ネットワーク」が開いているかどうか

ここでみなさんに問いたいと思います。

「自分の人的ネットワークは開いているでしょうか? また、多様性はあるでしょうか? あるいは、相互につながっていない人たちが多いでしょうか?」

もし、自分にとって「重要な人脈」を5人あげたとき、5人がすべて互いに知り合い同士であれば、ひとつの「閉じたコミュニティ」にどっぷり浸かっているにすぎません。

自分の人脈の中で、互いが知り合い同士でない人が多いほど、「開かれた人的ネットワーク」をつくり上げていることになります。

「信頼社会」では、そうした「開かれたネットワーク」の構築力が求められます

【能力4】「独学力」が高いかどうか

そして、生き残れる人に共通する最後のスキルは「『独学力』が高いかどうか」です。

環境変化にともない、企業内外で「リスキリング」に注目が集まるいま、与えられた学習プログラムをこなすだけの「受け身のリスキリング」を繰り返すのは、本人にとって精神的に大きな負担になります。

いくら「リスキリング」を行っても、「学びの主体性」が低いと、変化に対応できず、「仕事自律」も「キャリア自律」も望むことはできません

それよりも大切なのは「独学力=学びの主体性」です。

「なぜ学ぶのか(Why)」「何を学ぶのか(What)」「いかに学ぶか(How)」を主体的に決めて、組織内においても1人ひとりが自律的に動いていくことが大切です。

「独学力」は10年、20年後に生き残る「最強の武器」

紹介してきたように、今後日本が転換していく「ヨコ社会+信頼社会」では、これまでとは違う能力が求められます。

【1】「人間関係感知能力」が高いかどうか
【2】「ビジョンやミッション」を重視しているかどうか
【3】「人的ネットワーク」が開いているかどうか
【4】「独学力」が高いかどうか

紹介した4つのポイントのうち、とくに【4】の「独学力」を磨くことは、10年、20年後に生き残る「最強の武器」になるはずです。

これまでのような「階層別」の分業、「受け身」の学びでは、キャリアを切り開くのは難しい時代です。「仕事」と「学び」のサイクルを回し、「独学力」を身につけることが「この先、生き残れる人」の必須の条件となるでしょう。

自ら振り返り、日本社会が直面する「大きな変化の波」を乗り切るための「自ら学び続ける能力」を磨いてほしいと思います。