特別の意図はなく、ソフトウェアに機能として備わっているからと、気軽な気持ちで会話を録画、録音、文字起こしするということは当たり前のように行われています。何かあったときのために普段から情報収集は抜かりなく、という姿勢なのでしょう。
これに対する是非自体は、ここでは問題にしません。
ただ、リーダーはこのあたりに配慮しつつ、うまく対処する必要があります。昨今、「ハラスメント」という言葉が世に広がり、それまで泣き寝入りしていた人が声を上げやすくなりました。多くの問題が明るみに出て解決に向かいはじめたという意義があります。
先日も、権威あるビジネス雑誌が「パワハラ大国ニッポン」という特集を組んでいました。それによると、この社会的な努力を悪用した「ハラハラ」(なんでも「ハラスメント」だと言い立てるハラスメント)なるものもあるようです。
意見の相違や好き嫌いを「ハラスメント」として訴える風潮のことです。
訴えられた以上は会社としてはコストをかけて調査するしかありません。しかし示された大量の文書や映像、音声履歴をいくら調査しても、適切な指導や議論しか出てこなかった、という話をよく聞きます。結果、調査のための各種コストがムダになったわけです。
チームをモチベートし、メンバーを育成し、目標を達成する使命を負っているリーダーとしては、余計なことに時間をとられる暇はありません。
もちろん、メンバーを信じつつも、すべてのコミュニケーションにおいて、万が一にも足をすくわれることのないよう、むしろ常に録画されているつもりで話をするように心がけましょう。