陸上自衛隊の訓練では「どんなに最悪な状況だと思っても、仮眠の時間だけは最初に作れ」と教わった。とくに地震など災害派遣では、徹夜で活動して一息つこうと思った瞬間に本震がやってくることもあるのだ。
睡眠不足はパフォーマンスを下げる。長期で物事を考えたとき、寝不足で疲労困憊なまま、ベストな状態で戦うのは難しい。
また、ストレスフルになって食欲がわかないとき。これは肉体の防衛機能で、人はピンチになると交感神経が優位になり、攻撃に備えようとするためだ。しかし、しっかりご飯を取らないと交感神経が高ぶったまま布団に入ってしまうのはよくない。
寝付けないうえに、栄養が取れず、疲労からくるイライラやストレス耐性の低さで負のスパイラルを招いてしまう。ご飯は、食べたいときに食べるものではなく、生きるために食べるものだと考えるのがいいという。
気分が憂鬱になりやすい時間は深夜。夜は悩みやネガティブな感情が出てきやすいものとあらかじめ知っておく。
陸上自衛隊では、不眠不休の演習を長いときは1週間以上にわたって行うことがある。演習では、ベッドのようなものはなく、掩体(えんたい)という穴の中や、車両の中で数時間だけ交代をしながら仮眠を取る。
「深夜0時以降は、疲労と物音でストレスを感じて気分が憂鬱になりました。しかし、日の出を迎えると太陽からのエネルギーをもらい、不思議と元気になっていくんです。
人間のバイオリズムは、深夜は言われた言葉を思い出したり、疲労がたまっていたり、警戒心が強まるので、SNSでネガティブな情報を集めてしまう気がします。すると、交感神経が活発になり、夜中に目が覚めてしまったり。だから、深夜に考えることはろくなことじゃないと思うことが大切だと思います」
心が落ち込んだとき、職場で嫌なことがあった日に、そのまま直帰してしまうと、イライラした気持ちを家に持ち込んでしまうことになる。たとえばカフェや本屋さんに立ち寄ってみる。また、普段からさまざまな居場所を持つことも生存確率を高めるために大切だ。仕事だけに偏ると「自分はここしかない……」という考え方に陥ってしまい、視野も狭くなってしまう。
そもそも、「人は生きにくいもの」だと語るぱやぱやくん。生きにくくて、つらくて、どうしようもない気分になるのが人生だと思っていれば、多少楽になるのではないか。
夜になるとネガティブになるもの。睡眠や食事、エネルギー不足になると人はイライラするもの。あらかじめ「そういうもの」だと知っておくことが大切だ。
生きていれば、日々、日々、打ちのめされる。自分がいくら頑張ったつもりでも期待どおりにはならないし、次から次へと壁にあたる。
それなら「失敗するのが当たり前」と、ちっぽけなプライドを捨てて弱さと向き合ってみる。
弱さと向き合うことは、誰だって正直ちょっとつらい。しかし、だからこそ弱さを受け入れられた人は結果的に賢くなる、そして生きやすくなる。
ぱやぱやくんの話を聞いて、そんな気がした。