コツ① 承認と改善点は8対2の割合で伝える
部下や組織を成長させるには、改善点を指摘し、どうしたらいいかを教えることも必要です。そのため、どうしても部下へのメッセージは、ネガティブなことになりがちです。
上司としては、よりよくするための改善点の指摘ですが、部下にとっては「ダメ出し」「自分を否定された」と、ネガティブな気持ちにさせてしまう行為になりかねません。
部下を指導するときは、部下を否定しているわけではないことを示す必要があります。「あなた(部下)のことは認めているよ」という肯定的メッセージと「改善点」のメッセージの割合を8対2にして伝えましょう。ポジティブな気持ちで改善点を受け止められると、相手は聞く耳を持って改善してくれます。
部下がミスを報告しない、ミスを受け入れられない背景に、「叱られたくない」「できない奴だと思われたくない」という意識があります。言い換えると、自分に自信がなく、つねに不安であるということ。そんな状態のときに、上司からダメ出しされたり、ネガティブなことを言われたりしたら、頑張ろうという気持ちになれません。
反対に、ポジティブな気分になるような言葉を上司にかけられたら、部下は不安が和らぎ、少しだけ自信を取り戻して、「もっと認められるようになろう」と頑張るようになります。さらに部下がポジティブになると、上司も悩みが消え、ポジティブになれます。ネガティブなポイントを肯定的に伝えることが、チーム全体のパフォーマンスにもつながってくるのです。
コツ② ポジティブ要素で話を包み込む
人間とは不思議なもので、最初に受けた印象に強く引っ張られる特質があります。最初にポジティブなメッセージを聞くことで、相手もポジティブな気持ちになり、感情も和らぐのです。部下を指導する際は、本題(ネガティブなこと)から切り出すのではなく、最初にポジティブな要素を伝えましょう。そうすることで、自分を傷つけるための会話でないと部下は受け取り、耳を傾けてくれます。
また、ポジティブな言葉で会話をスタートしてからネガティブな話題に、最後にポジティブな言葉とともに、未来に向けた肯定的なメッセージで終わりましょう。
サンドイッチ方式で、ネガティブフィードバックをポジティブで包むのです。2枚以上のパンで具を挟むサンドイッチのように、ネガティブな言葉や話題をポジティブな言葉や話題で挟むことによって、ネガティブな言葉や話題の印象を和らげることができます。厳しいことを言われるので、部下も落ち込むでしょうが、最後にまたポジティブな会話をすることで、この会話全体のイメージがポジティブになります。