こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
上司の何気ない一言にイライラしたり、同僚の理不尽なミスによって余計な仕事を増やされて腹が立ったり、部下が何度も何度も同じミスをして後始末をさせられて腹わたが煮えくり返ってしまったり……。怒りの感情があるがゆえ、仕事がうまく進まないなんてことが、日々、他人といっしょに仕事をしている人には多々起こります。仕事の大敵である怒りをうまくコントロールし、仕事に集中して向き合うコツはあるのでしょうか? 著書『1ステップで気分があがる↑気持ちのきりかえ事典』から一部抜粋、再構成してお届けします。
他人のミスで手間が増え、予定どおりに物事が進まない……。
そのような理由で怒りを感じてしまったとき、おすすめなのが「いい香りのするコーヒーやお茶を飲むこと」です。五感には、嗅覚のほかに、触覚や味覚、聴覚、視覚がありますが、その中で嗅覚は、唯一、感情と記憶をつかさどる脳内の部位と直結しています。香りをかぐと、昔の記憶がよみがえってきたり、感情が揺さぶられたりという現象が起こりやすくなるのはこのためです。
数年前に、シンガーソングライターの瑛人さんの「香水」という曲がはやりました。話題になったドルチェアンドガッバーナの香水に触れた歌詞は、まさに嗅覚と感情の記憶の結び付きを象徴した歌だと思います。そのほか、アロママッサージやアロマテラピーなどの香りを用いたマッサージやセラピーがリラックス効果を生むのも、そのような理由があるのだと思います。だからこそ、イライラしたときは、いい香りをかぐことで気分をリセットすることができるのです。
そして、いろいろな香りがある中で特におすすめは、コーヒーの香り。鎮静作用があるからです。コーヒーの香りの持つすぐれた効果から、「トラブルになりそうな話をするときは、普通のホテルのロビーや喫茶店ではなく、コーヒー豆を焙煎しているようなコーヒーの香りが強いお店を選んだほうがいい」とさえ言われています。
よって同じコーヒーでも、よりリセット気分を高めるには、香りにこだわったほうが効果が高いのです。たとえば、インスタントコーヒーや缶コーヒーを飲むよりは、コーヒーの専門店に行く。自宅で飲む場合は、紙パックでドリップしたり、コーヒーミルで豆をひいたりしてみる……。このように、よりコーヒーの香りが引き立つスタイルを楽しむほうが、イライラをおさめるのに効果があります。
なお、イライラしているときほど、ブラックコーヒーではなくて、カフェオレやソイラテなどを選んでほしいと思います。気持ちを落ち着かせるには、気持ちを穏やかにしてくれる脳内ホルモンの一種であるセロトニンが不可欠です。セロトニンを充足させるには、自分の身体から摂り込んだ栄養をセロトニンに変える必要があります。そのセロトニンのもととなるのが、トリプトファンと呼ばれるアミノ酸の一種です。トリプトファンが豊富に含まれている乳製品や大豆製品などを取ることで、イライラを軽減させる効果があります。
もう1つ、イライラしたときに欠かせないのが糖分です。糖分を摂ることで、血糖値があがり、精神的ストレスが緩和されるという報告もあります。ミルクコーヒーに砂糖を入れてもいいですし、お茶請けにドライフルーツなどを添えるのもいいでしょう。昔から、子どもに留守番させるときに甘いおやつを置いていたのは理にかなっていて、愛情の代替となるとも言われていたほどです。とはいえ、甘いものを食べすぎて血糖値が急上昇してしまうと、逆にイライラが高まってしまうことにもなるので、あくまでコーヒーとともに楽しむのは、角砂糖1~2個、お菓子1個くらいが適量です。