リーダーに必要なのは「指示ではなく依頼」の意味

経験的には、同期や、年齢・社歴が先輩にあたる人に入ってもらうと、こうした関係を築きやすくなります。

一方、自分より若い人やキャリアの浅い人でも、過去にハードな意思決定をした経験のある人や、相応の想像力のある人であれば、相談者になりえます。こうした人は将来組織を引っ張る素養のある人(あなたの後継者候補)でもありますから、意図的に相談をもちかけるのがおすすめです。

相談できる人をチームに入れることは、自身のリーダーシップの確立を早く、また確実なものにし、判断や指示・依頼の独りよがりを防ぐとともに、後継者育成にもつながります。

現在チームがすでにあり、そのチームで目標に向かって仕事をしている人も多いでしょう。実はこういうときもリーダーは、今のチームを入れ替えることを考え、一時的な不協和音はあっても定期的なシャッフルを、常に考えているべきです。

長く同じ人とチームを組むと、そのメンバー同士ではやりやすい一方、仕事のマンネリ化、馴れ合い、(マイナスの意味での) 阿吽の呼吸が生まれるリスクが発生します。

新しい刺激がなく、狭い範囲で部分最適を追求し、第三者からはわからない仕事のやり方を続けると、新しい発想が生まれる機会が減ります。また、新たな競合の出現などの変化に耐えられないどころか、その変化にさえ気づけず、新しい価値を生み出すことができなくなってしまいます。

それを回避するため、1つのやり方に固執せず、視野を広げるために、プロジェクト型に近いチーム運営をするとよい、というのがここでのポイントです。

人を入れ替え組織を活性化

チームというのは常に新しいメンバーを迎えることで、意図的に組織に刺激を与えることが大切です。

『知的創造企業』で有名な野中郁次郎氏は、「ゆらぎ」を意図的に与えることで、組織は活性化すると言っていますが、私は人の入れ替えも1つの大きな「ゆらぎ」になると思っています。

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メンバーが入れ替わった直後は新しい刺激があると同時に、一時的にやりにくさや不便なことも発生します。しかし、これは前進するための摩擦です。

リーダーはこれを意図して、あえてチームメンバーを入れ替えるのです。
長くチームを組んできて、今や片腕ともいえるメンバーも、定期的に自分のもとから旅に出すようにしてください。これはそれぞれにとって、いい成長の機会になります。

そしてのちに、別の場所で異なる経験を積んだ者同士が再会し、新たなレベルでチームを組むと、お互いの成長を感じることができるはずです。それは実に新鮮な刺激となり、次の新しい価値を生むスタート地点になるのです。