◎給与明細の見方を知ろう
新社会人として初任給をもらったときに、「思っていたより手取りが少ない……」と落胆した経験はありませんか?
社会人になって保護者の扶養から抜けて経済的に独立すると、税金や社会保険を自分で支払わなければならなくなります。会社に勤めた場合は、所得税や住民税、社会保険は給与から天引きされ、勤め先の会社が支払います。
自分が給与をいくらもらっていて、何にいくら天引きされているのかは、給与明細から知ることができます。自分の給与明細を手元に置いて、自立するために知っておくべきポイントを学んでいきましょう。
図中の?には、会社から支給されているものが書かれています。会社から毎月支払われる「基本給」が必ず記載されますが、「残業手当」(時間外手当)は、会社の就業規則に定められている場合は基本給とは区別されます。ほかにも所定の追加賃金として、通勤時の「交通費」など各種手当が支払われます。
図中の?は、これらの支給額から控除されるものです。その代表格は、「所得税」と「住民税」の2種類で、これらは収入に応じて納税義務が課される税金です。
ほかには、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」という4つの社会保険が天引きされます。「介護保険」は40歳になる月の給料から毎月徴収され始めますが、従業員は一定の要件に基づき、各社会保険に加入する義務が生じます。
同時に、各社会保障制度を利用する権利も生じます。それ以外にも、会社規定で給料から差し引かれる項目がある場合が定められています。
図中の?は、その月の総労働時間と内訳、有給休暇の取得日数、欠勤や遅刻の回数や時間などを含めた勤務状況と、振込金額が記載されています。これらの情報をもとに給料明細の各項目の金額が計算されますが、図中?の銀行振込金額がいわゆる「手取り金額」で、「支給される金額-控除される金額」の差額となります。
会社によって給与明細の様式は異なりますが、これらのポイントは共通項です。給与明細では、手取り金額にばかり着目しがちかもしれませんが、給与から控除されている内容を大まかにでも把握することが、「会社に縛られない人生」に必要なステップとなります。
◎お給料、何やらいろいろ引かれてるんですけど(所得税)
会社員として勤めていると、何もしなくとも会社が代わりに税金の納付手続きをしてくれます。しかし、その仕組みを知ることはとても重要なことです。
日本の税金は仕組みが複雑ですので、1から10まで理解する必要はありません。ざっくりしたイメージがつかめるようにしていきましょう。まずは「所得税」について。会社員の所得税は下図のような流れで計算されます。