集中力が低い人は「3つの雑念」に邪魔されている

1日に集中できる時間は決まっていますが、その時に最大のパフォーマンスを発揮するには雑念を振り払うことが重要です(写真:Ushico/PIXTA)
集中力が低下すると、仕事がはかどらない。バリバリと難しい仕事もこなせるあの集中力は、どうやったら手に入るのかーー。1日中高い集中力を維持することはできないが、集中力をできるだけ長く維持することは可能だと、精神科医で作家の樺沢紫苑氏は言う。本稿では同氏の近著『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』より、雑念排除テクニックを取り入れて、仕事のフォーマンスを上げる方法をお伝えする。

集中力の高い時間に、集中力の必要な仕事をする

たくさんの仕事をこなすためには、「集中力」を中心に時間を使いましょう。その上で、非常に集中力を要する「集中仕事」と、集中力をさほど使わなくてもできる「非集中仕事」に二分。集中力が高いときに集中仕事をすることで、1日にこなせる仕事量が決まります。

皆さんもご経験があるでしょう。午前中は難しい文書や企画書がすらすら書けたのに、昼食後はどうも進まない。だけど夕方の終業前は、ラストスパートがかかり一気に仕事がこなせた。また、昨今はテレワークが普及し、寝起きのスッキリとした脳を活かして、すぐにパソコンへ向かって猛烈にスタートダッシュする方もいらっしゃると思います。

集中力は、メンタルトレーニングを徹底的に行なっているプロのスポーツ選手ですら、完全にコントロールすることはできません。集中力は高めようとするのではなく、集中力の高い時間に集中力の高い仕事をするのが肝心です。

また、人間の身体には「体内時計」があり、正確にリズムを刻んでいます。毎日同じ時間帯にお腹が減ったり、眠気が来たり。また、体温やホルモンも、時間とともに規則的に変化しています。そうした中に、ウルトラディアンリズムという約90分間の周期があり、覚醒度の高い90分と眠気の強い20分が交互に訪れるサイクルが脳には存在しています。

つまり、集中力の波に乗るのが、仕事のパフォーマンスを上げるコツです。私はそれを「脳リズムサーフィン仕事術」と呼んでいます。リズムに逆らわずに、その波に上手く乗りましょう。

ただし、注意点があります。それを以下で説明いたします。

集中力の敵は、雑念です。雑念を取り除けば自然と集中力は高まりますし、「雑念が排除された状態を、集中した状態」と定義することもできます。集中力がいったん途切れると、元に戻るまでに15分かかると言われています。1日3回集中が途切れると、45分の時間的損失となるのです。あなたの集中力を邪魔する雑念を取り払うことで、ロスを減らすことができます。

雑念を排除する方法を、3つに分けてお伝えします。

「物」を探すのに集中力が途切れる

雑念を起こす1つの要因に「物」があります。

「ホチキス、どこへ行ったかな?」
「あのデータ、どこに保存したかな?」
「あっそうだ。この請求書、まだ支払いしていなかった」

例えば、探し物。デスク周りやオフィスが散らかっていると、いちいち探さないといけませんよね。その瞬間に集中力の糸が途切れ、高まっていた集中力がゼロに戻ってしまうのです。これはパソコン作業でも同様。デスクトップが散らかっていたり、ファイルがあちこちに保存されていたりすると、探すという途切れが発生してしまうのです。

この対処法は、「置く場所を決めておく」ということです。ホチキスとセロハンテープは引き出しの右手奥、パソコン内のデータは内容が一瞬でわかるファイル名で分類されたフォルダに保存する、といった具合に。

また、散らかりからも雑念が発生します。読みかけの本があれば続きが気になり、請求書があれば支払い処理が気になります。こちらは、余計な物を置かないということで解決可能。つまり、机の上も、パソコンの中も、徹底的に整理整頓して、常にきれいにしておきましょう。