集中力が低い人は「3つの雑念」に邪魔されている

雑念の要因に「思考」もあります。

「そうだ、Aさんにメールの返信をしないと」
「そういえば、今日中に出さないといけない書類があった」
「今日のランチは何にしようかな」

こうした想いが頭をよぎることで、今やっている仕事を中断して別の作業をやりたい衝動にあなたを駆り立てます。結果、1秒の雑念が15分という時間のロスに連鎖していくのです。

自然と頭の中に浮かんでくる雑念をきれいさっぱり消し去るのは不可能なように思えますが、実は簡単に消すことができます。「〇〇しないといけない」「〇〇はどうしよう」など雑念が何度も浮かんでくるのは、未完了課題として脳が緊張を維持しているからです。

「お昼はどうしよう。ラーメンにしようかな?」という思考は進行形です。そこで「お昼はラーメン!」と決定すると、脳の中では完了形となり、緊張がとれます。

同じように「昼イチ、Aさんにメールの返信をする」「夕方5時に書類を提出する」など決定していきます。

そして、それらのやるべきことは To Do リストとして書き出します。その際、できればデジタルではなく紙がおすすめです。すぐそばに置いておけば、気になった時にパッと1秒で確認できるので、集中力を途切れさせずに済むからです。

雑念が出たら書き出す。そして、書いたら忘れる。これを習慣化することで、何度も雑念が浮かんでくるのを防ぐことができ、高い集中力のまま仕事を続けることができるようになるでしょう。

人や通信による「邪魔」を防ぐ

雑念は「人」「通信」からも引き起こされます。

「〇〇さん、そういえば例の件はどうなった?」
「〇〇さん、A社からお電話です」
「(ピロン)あっ、スマホにメッセージが届いた」

集中力が高い時間に没頭して仕事に取り組んでいるとき、横槍を入れられるのは邪魔でしかありません。たった1分の用件であったとしても、それが30分、45分の時間のロスになりかねないからです。

これを解決するには、人から声を掛けられないところへ場所を移すといいでしょう。私にはいきつけのカフェがあり、窓に面した席で青空と緑を眺めながら執筆しています。自分のとっておきの場所で、その場所では必ず缶詰になれる「集中空間」なのです。この集中空間での仕事が習慣化すると、脳は「ここは集中して仕事をする場所です」と記憶し、集中力を高められるようにコンディショニングしてくれるようになります。

会社員の方は、自分のデスクを離れて、空いている会議室を利用するのも手です。コアな集中力を必要とする集中仕事は、隔離された閉鎖空間を上手に活用するといいでしょう。

また、テレワークで自宅仕事をする場合は、家族に「絶対に声を掛けないで」と伝えておきましょう。もし勝手にドアを開けたら……。まるで『夕鶴』のつうのようですね。私はこれを「夕鶴仕事術」と呼んでいます。

スマホの通知設定はオフにしておく

あと、スマートフォンの通知はオフの設定にしておきましょう。「別に気にならないから大丈夫」という方もいますが、脳は無意識に情報を処理しています。通知音・着信音が鳴るたびに、脳を妨害しつづけ、集中力を高めないようにしているようなものなのです。集中力が低下する時間帯や休憩時間中に通知をオンにして、届いた内容を確認すれば良いでしょう。

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最後になりますが、不安や心配事が何度も頭に浮かんできて振り払えないときは、注意が必要です。雑念が振り払えないのは、前頭葉が疲れている証拠だからです。前頭葉は、脳の中で「切り替える」作業を行なっています。うつ病では前頭葉の機能が低下し、不安なことを何度も考えて余計に不安になって気分が落ち込むということがあります。

うつ病といった深刻な状態までいかないにしても、睡眠不足やストレスが溜まっている状態でも前頭葉の機能は低下します。

こうした場合は、切り替えと深く関係している脳内物質「セロトニン」を活性化すれば緩和することができます。具体的な方法は、「日光」「リズム運動」「咀嚼」の3つです。日常的に取り入れるには、ランチタイムは外へ。日光を浴びながら、少し離れたところへ歩いて行き、歯ごたえのあるメニューを選んでみると良いでしょう。お弁当の方は、パソコンの前で広げるのではなく、歩いて近くの公園へ。

仕事のパフォーマンスが上がるということは、家族や友人との時間を充実させたり、趣味の時間を持てたりにつがなります。自分と家族を大切にした上で、バリバリと仕事が頑張れるよう願っています。