自己否定することで、「自分は何をやってもダメだ」と考えるようになり、新しいことに挑戦する意欲が減ってしまいます。そうなると脳全体の活動量が低下し、それによって外部に対する関心や注意力が低下します。すると、ますます脳の活動が弱くなるのです。
脳がフリーズ状態=判断停止状態になると、「自己否定によって自分を防御する」という、困ったパターンにおちいることがあります。自分を否定して「どうせ何をしてもムダだ」と思い込む。すると、前向きになる努力や労力から逃れることができます。
自己否定をいわば言い訳にして、面倒なことから逃げるようになってしまうのです。
脳のカウンセリングで私が、「あなたはもっと能力があるはずです」とか、「日常の行動をこう変えてみたらどうですか?」とはげましたり、提案したりしたとします。ところが、どんなに言っても「いや、自分には無理です」「こんな自分が変われるはずがありません」とかたくなに決めつけ、変化をこばむ人がいます。自己否定している自分に固執してしまうのです。
変化することよりも、自己否定の中に沈んでいたほうが楽だと考えるようになってしまう。こうなると、自己肯定感を取り戻すことがますます困難になってしまうのです。
多くの人がおちいる「自己否定のパターン」を知っておくべきでしょう。
自己否定しやすい人にはいくつかの特徴があります。あらかじめ自己否定しやすい人の特徴を知っておくことで、その落とし穴を上手に避けて、自己否定のスパイラルにおちいらないようにすることができます。
以下、その特徴をいくつか紹介しましょう。
◎自分にうそをついてしまう人
あなたは自分の気持ちにうそをついたり、ごまかしたりすることはありませんか?
そう聞かれて、「私は一度も自分の気持ちにうそを言ったことはありません」と答える人は少ないのではないでしょうか。誰でも、状況に応じて、ときには自分の気持ちをごまかすことがあります。
問題は自分を守るため、あるいは見栄や体裁を気にして、自分の本心をごまかしてしまう場合です。
たとえば好きな相手がいるとして、本当は「付き合いたい」と思っているとしましょう。ところが相手は高嶺の花で、自分などは相手にされないのではないか、という不安があったとします。自分が否定されることを恐れて、「いや、自分は実はそれほど好きじゃないんだ」などと理由をつけて、自分の心をごまかしたとしましょう。
意識的には自分をごまかせても、無意識で自分は自分の本心をごまかしたことを知っています。そして、自分の心にうそをついた引け目を、無意識に抱えることになります。