日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれている。
その岡本氏が、全メソッドを初公開し、15万部を超えるベストセラーとなった『世界最高の話し方――1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』に続き、このたび『
世界最高の雑談力: 「人生最強の武器」を手に入れる! 「伝説の家庭教師」がこっそり教える 一生、会話に困らない超簡単50のルール』を上梓し、発売3日で3万部を突破するなど、早くも話題を呼んでいる。
コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「『自分の話ばかりする人』を黙らせるたった1つの方法」について解説する。
対処に困る「『私の話を聞け」系ナルシスト」
「雑談や会話はキャッチボールのようなもの」とよく言われます。
お互いが気持ちよくボールを投げ合い、情報や気持ちを交換することで、つながりを深めていくわけですが、なかには、とにかく自分の話ばかりして、人の話をまったく聞かない人がいます。
こうした気質をアメリカの社会学者は「会話ナルシズム」(Conversational Narcissism)と形容しました。今回は、みなさんの身の回りにもいる「『私の話を聞け」系ナルシスト」にどう対処し、どう撃退すればいいのかを考えてみましょう。
まずは、次の2つの会話、どこが問題かわかりますか?
会話?:Aさん「週末、温泉に行ってきたの」
Bさん「あ、私も、軽井沢の別荘に行ってきたわ」
会話?:Aさん「最近眠れなくて」
Bさん「僕も、最近、仕事が忙しすぎてさあ」
会話が成立しているように聞こえますが、Aさんが話しているのに、Bさんは「自分の話」にすり替えてしまいました。
この場合、Bさんは、会話?なら、「どこの温泉?」「どうだった?」、会話?なら「そうなんだ」「何か悩み事でもあるの?」と、相手のコメントに反応する形で話を続けるべきでした。そうすれば、Aさんも「きちんと話を聞いてもらえた」という気持ちになり、会話が弾んだことでしょう。
この「俺も」「私も」「僕も」は、相手に同意しているように見せて、「会話ナルシスト」への入り口にもなる要注意な言葉なのです。
まるで、パクパク大口を開けて、すべての餌を独り占めして、食べていくコイのように、常に自分の話に寄せていく「会話泥棒」、よくいますよね。
気がつくと、2~3時間の会話の中で、90%ぐらいをその人がしゃべっていたりするのですが、まったくお構いなしの様子です。
じつは「話す量をコントロールできない人」もいる
どんな人がこの「会話ナルシスト」になりやすいのでしょうか。医学や心理学の研究によれば、「話しすぎる人」には、次のような傾向が見られるそうです。
・成功を収めている、もしくは地位が高い人
・自分の流儀・成功の秘訣を教えてあげたい人
・沈黙が怖い人
・「理解してもらっていないのでは」と話を続けてしまう人
・そもそも、人の話に興味がない人
・ほかの人や自分の感情を受け止めきれない人
・「場を盛り上げてやっている」と思い込んでいる人
・孤独で自分の話を聞いてもらうことが少ないので、ついついしゃべってしまう人