自分のプロフィールを埋める写真は友達が撮影した自分。リアルな友達がいなければ投稿はゼロ――、そんなアプリがアメリカの10代に人気を博している。
「Poparazzi(ポパラッチ)」はアメリカのスタートアップTTYLが開発したアプリ。2021年5月24日にリリースされ、その約1年後である2022年6月1日にはダウンロード数が500万回を超え、共有された画像や動画は1億枚以上となった(出典:公式ブログ)。
注目すべきは、そのユーザー層だ。アクティブユーザーの95%が21歳未満とほとんどが10代で、その75%以上が14~18歳。日本でいえば、高校生ぐらいの若者から支持されている。
Poparazziのコンセプトは「アンチセルフィー」。アプリ名はセレブを追いかけ回して写真を撮る「パパラッチ」をもじって名付けられた。SNSで映えるために自撮りをしたり、とうとうと自慢を書き連ねることはできない。他人が撮影した写真や動画だけが自分のプロフィールに表示されていく。そこには、ありのままの自分が浮かび上がる。
公式ブログによると、自分で自分の写真を投稿できないため、一緒にいる人を重視するようになるアプリだという。Poparazziは、友達を撮影しなければ何も投稿できない。そのため、友達の一挙手一投足が気になり、一瞬を逃さず撮影するようになる。食べ物をこぼした瞬間の驚きの表情、自分を見るときのほほ笑み、旅行先でふざける姿など、いつも自分が見ている友達をPoparazziに残していく。
そして、友達のプロフィールを見れば、友達が自分以外の人といるときの過ごし方を見ることができる。友達の意外な一面がそこにあるかもしれない。
自分に関しても同じだ。友達というフィルターを通して、自分を見つめ直せる。自撮りでは自然に顔を作ってしまうが、他人が撮る写真には普段の表情が写りやすい。自分が知らない素の自分がPoparazziで確認できる。
Poparazziを楽しむためには、リアルな友達とつながることが大事だ。つまり、「リア充」のアプリだ。
しかし10代であれば、同級生や友達と過ごす時間が長いため、撮影のチャンスは多い。Instagramでも、10代の投稿には一人で映っている写真は少なめで、ストーリーズだと友達だけを撮影してタグ付けすることも珍しくない。私が見ている範囲は国内だが、海外のほうがモノより人物を載せる傾向があるため、もっと友達の出現率が多いことが想像できる。
Poparazziに投稿するには、写真や動画を選び、映っている友達を「ポップ(タグ付け)」する。すると、相手のプロフィールに、相手と自分の名前が入った投稿が表示される。プロフィールの投稿を見ていくと、その人が誰といたかがタグ付けでわかる。タグ付けされた人には通知が行き、InstagramのストーリーズやSnapchatに投稿をシェアできる。
つまり、Poparazziのメインはタグ付けとも言える。タグ付けの楽しさは、Facebookに馴染みのある世代なら想像できるだろう。
例えば、親しい友達の魅力をほかの人にも知ってほしいとき、タグ付けをして投稿する。その魅力が漠然としているときもあるかもしれないが、「小学校からの友人と再会」というだけでもタグ付けして紹介したくなる心理がある。