多くの人が勘違いしている「生きづらさ」の真実

人は根本的に受け身で生まれてきている

しかし同時に、それがむずかしいのもよくわかります。

人間は、力を入れるようにはできていますが、力を抜くのは非常に苦手なのです。坐禅で「肩や手足の力を抜いてください」と指導して、すぐそのとおりにできる人はまずいません。

ただ、思い出していただきたいのですが、人はやる気に満ちて、力いっぱい生まれてきたわけではありません。もし自分で「これから生まれるぞ」と決めて積極的に生まれてきたのなら、力を入れて生きるのもわかります。でも実際、人は根本的に受け身で生まれてきているのです。

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その証拠に、赤ちゃんは人の手を借りなければ、絶対に生き延びることはできません。人生の始まりからして、われわれは他人の存在によって生き延びてきました。それを思い出せば、「こうあらねば」とむやみに力を入れて生きることの不自然さがわかるでしょう。もともと人間は受け身の存在なのに、駆り立てられるように積極的に生きるのは無理なのです。それでも無理しないと生きられないのだとしたら、自分を追い込まない「無理の仕方」があるだけです。

しかし本当のことを言えば、無理をすることもない。たいていのことはやり過ごしてもいい話なのです。

乱暴なことを言うと思うかもしれません。

でも死ぬ間際になれば、大したことは残っていません。今ジタバタしている問題について、思い出したりもしないでしょう。人生の最後に一生を振り返ったとき、おそらく、「多少の満足」と「いくつかの後悔」が残るのが普通です。多くの方を弔ってきて、そう実感します。けれど、それでいいのです。

人生を?棒に振る”くらいの気持ちで生きれば、ちょうどいいのです。
すると、ラクに生きられます。そして、ラクに死ぬことができます。