「ロシアを信じるな」ロシア通の日本人が断じる訳

ネムツォーフ氏は2015年2月27日の深夜、クレムリンに隣接する橋を歩いているときに背中から4発の銃弾を浴びた。その2日後には、ロシア軍のウクライナ侵攻に反対する大規模な集会を予定していたという。殺害の容疑者についてロシア大統領府は調査を表明したが、犯行の全容はいまだ明らかにされていないようだ。主要メディアは事件を報道するものの、真実を解明しないというのだ。

プーチン政権の批判は危険

ネムツォーフ氏の殺害でわかったのは、ロシア領土の拡大をはかるプーチン政権を批判するのは危険なことだということである。ロシアを愛さないのは犯罪者になるどころか、命の危険にさらされてしまう。(140ページより)

この記述を目にすると思い出さずにいられないのは、「私はここにいる。武器を捨ててはいない。国を守り続ける。われわれの土地、国を守る。ウクライナに栄光あれ」と果敢に訴え続けるウクライナのゼレンスキー大統領のことだ。場所を変えながら軍や国民に向けた動画を通じてメッセージを発信する姿勢は大きな評価を得ているが、プーチン氏がその行動を容認するとはとても思えない。だからこそ、国を守ろうと奮闘する氏の命の危険を感じずにはいられないのである。