2000年代初頭から4度もブームが到来し、もはや「ブーム」という言葉はふさわしくないのではないか、と思われるほど人気が定着した韓流カルチャー。女性にかぎれば、子どもからシニアまで幅広い世代にK-POP、映画、ドラマ、小説のファンがいる。そんなファンたちに何が魅力か聞いたところ、いくつかの共通点が浮かび上がってきた。
1つは、女性たちがリアルに描かれ、自立している姿があこがれの対象になること。「韓国ドラマには、社会派の要素がさりげなく入っている。女性も自分の意志がある人を描かれる。日本のドラマは、恋愛でも壁ドンなど、追い詰められて選択肢がない描き方をしがち」と話すのは、韓国語を学び高校時代は韓流一色だったというIさん、そして同じく韓国語も学ぶ韓流ファンの同級生Sさんだ。
2人とも韓国ドラマが日本で紹介される時、ドラマのイメージが日本風に「変換」されてしまうことに不満を抱いているという。
「『恋愛ワードを入力してください』の原題は『検索ワードを入れてください』という意味なのに、日本で恋愛要素を強調されてしまう。メインキャラクターの3人の女性は全員バリバリ仕事していて、恋愛がなくても成り立つ描き方なのに」とIさんが言えば、Sさんも「日本に入ってきたときに、必ずタイトルやポスターで恋愛要素が強調され、ピンク色で表現されてしまいます」と不満を述べる。
ソウルと釜山の方言を聞き分けられるほど韓国ドラマにハマった40代のMさんは、「主人公が挫折からの紆余曲折を経て自分を変えて成長し、素敵な人とめぐり合うという設定が多い。どんなことにも立ち向かう強い女性が描かれている」と分析する。
「最近観た『女神降臨』というドラマも、主人公が見た目のせいで最初は学校でいじめにあったり、自殺を考えたりするのだけど、お化粧をすれば変身ができると気がついて必死にメイクを習得して、まったく別人のようになる。それに伴って周囲の見る目も変わり、転校先では女神扱いされるように。それでも戸惑いながら、最後はメークアップアーティストを目指すという内容だった」
Mさんはまた、「役職など重要ポストにつく女性も多い」と指摘する。「男性ばかりが要職についていると、女性視聴者から文句が出るからではないか」。
53歳の主婦、Yさんも「出てくる女性が自立していて、同性としていいなと思えます。私が『お花畑系』と呼んでいるキラキラした恋愛ドラマのキャラクターも、日本のドラマの女性みたいに周りに流されない」と言う。