なぜ日本企業はGAFAのようになれないのでしょうか。私は、よく言われる技術力や人材の能力以前に、組織のカルチャーや従業員のメンタルに大きな違いがあると考えています。
日本企業の問題点として、失敗をとても嫌うということがあります。特に、大企業の役員クラスに多いのが、「失敗は恥、ミスは絶対に許されない」という考えです。 稟議のような仕組みも、できるだけミスがないように確認を重ねるというものです。
発達心理学の分野から出てきた「グロースマインドセット(growth mindset)」という概念があります。失敗とは、成長するプロセスの一環であると大きく捉える考え方ですが、もともとグーグルには、失敗を許容するカルチャーがあります。まっとうな目的意識があったら行動すべきで、仮に結果がうまくいかなかったとしても、チャレンジの証としての失敗については、学びがあってよかった、と許容するのです。
一時低迷していたマイクロソフトは、サティア・ナデラ現CEOが、社員のマインドセットをグロースマインドセットに変えたことで見事に復活し、V字回復を遂げたと分析しています。
一方、先程述べたように、ほとんどの日本企業は、失敗を忌み嫌って恐れます。この心理を「フィックストマインドセット(fixed mindset)」と呼びます。特に管理系の役員が幅をきかせているような企業では、失敗に厳しく、ミスを絶対に許さない。
その結果、現場が萎縮して、自発的なチャレンジをしなくなります。言われたことしかやらないようになり、イノベーションも生まれないのです。これは、なぜ日本からグーグルのような企業が生まれないのかという、根底に関わる問題だと思います。
マイクロソフトのように、企業は頂点に立つトップ一人で変わります。
特に今のような有事が長く続く時代には、つねにハンズオンで、どんなことからでも学ぶ意欲が強く、確固とした世界観や時代感覚を持ち、未来を見通した真に実力のある人がトップに着いて社員を元気にしないと会社の存続は危うくなります。年功序列的、論功行賞的な幹部人事だとか、社内の政治バランスを優先したようなトップ人事をやっていると、そのまま会社の危機に直結します。