MATを作成したら、業務ごとの合計工数(時間)を確認します。そして業務ごとに合計工数と必要なスキルの過不足をチェックします。それぞれの業務が、その工数で実行できるかどうか、あるいは必要なスキルがあるかどうか、つまり過不足がないかを確認します。スキルの過不足を確認するためのツールが後述する30MRと9BOXです。
担当者に過不足があれば、可能な限り、期が始まる前に善後策を検討します。担当者の不足があった場合、MATがあると「〇〇をするための人材が、〇〇時間分不足している」など、明確に分かります。それをもとに、上司や人事部門に増員依頼します。求める人物が明確なので、人事も上司も求人や異動のために動きやすくなります。
過不足は可能な限りPre段階で解消しておきたいものです。
●MATの効果2 メンバー相互のミッションの難易度の公平性の確認ができる
MATでチームメンバー相互の比較や確認をします。具体的には、たとえば、同じ給与レベル(同じ職級や階級)の人同士を比較し、業務難易度に不公平感がないかを確認できます。
難易度は、「量の多さ」による難易度と「新規性や複雑性など質の高さ」による難易度の2つの観点でチェックします。
また、兼務など自部署以外の仕事をしているケースは、自部署でかけることができる工数で設計をします。たとえば2部署兼務で、50%ずつであれば、工数を50%として見積もっておきます。
さらに、期中に計画外の大きなミッションが発生した場合は、MATをその都度修正して、常に最新化しておきます。
MATを作成することで、どの業務を誰が担当するかの原案ができました。
② 30MR:担当業務を担当がどの程度できるか確認するツール
30MRは、30Minutes Reviewの略です。担当する人が業務のダンドリをどう考えているのかを30分で評価(Review)する方法です。これによりスキルの過不足が分かります。手順は次の3ステップです。
合意が得られない場合は、合意が得られるまで②~③を繰り返します。
上司は30分でミッションを説明し、担当する人は30分間で進め方を考えて、その後2人で30分かけて段取りを確認するということです。
業務がうまくいかない場合の大半は、段取りで失敗しています。業務を伝えた直後にプロセス設計を確認しておくことで、失敗を予防するのがねらいです。
ちなみに相手が新人などで経験が浅い場合は、30分でミッションを説明し、翌日に30分のミーティングを設定するなど、3のステップまでの時間を調整することも可能です。
これで、上司が与えた業務について担当者がどの程度できそうなのか把握できました。
最後は、上司の関与の仕方を確認します。
③ 9BOX:上司の関与の仕方を確認するツール
上司と部下のマネジメントスタイル(上司の関与の仕方)は「委任」「援助」「コーチ」「指示」の4種類あります。
最も大事なのは、業務単位でマネジメントスタイルを使い分けるということです。
大半の人が勘違いしているのは、「業務単位」ではなく、「人単位」でマネジメントスタイルを変えるのだと考えていることです。たとえば、この人はベテランだから「委任」、この人は新人だから「指示」としているのです。
しかし、ベテラン社員でも初めて取り組む業務は、上司のアドバイスが必要です。逆に新人で学生時代に経験した業務であれば、必ずしも「指示」でなくても大丈夫です。