成果をあげない人ほど働き、「忙しい」と嘆くワケ

少ないことを集中してやったほうが、より早く仕事は終わるのです。だから作業量はできるだけ減らしたほうがいいのです。

「仕事が多くて」と自慢げに言う人を見たら・・・

長く職場にいて、たくさん仕事をするほうが、高く評価される時代が続いていましたが、これからはそういう時代ではないのです。「いやあ、仕事が多くてね」と自慢げに言う人を見たら、「いやあ、仕事をこなす時間が遅くてね」と言っているのと同じだと思いましょう。

これからの世の中は、生産性がとても重要になってきます。どれだけたくさんの量の仕事をこなしたか、ではなく、どれだけ短時間に質の高い仕事ができたか、生産性に評価のポイントが移っていくでしょう。要するに、できるだけ働かずに、成果をあげられる人が高評価を得るのです。

しかし現状ではあいかわらず、長時間働いて、実は成果もそれほどではない、生産性が低い人が幅をきかせている職場もあります。自分の職場がまだ旧態依然として、そういう人たちがたくさんいるなら、彼ら彼女らを反面教師にして、そうはならない方法論を学んでいく勉強の場にしてしまうのもいいでしょう。

生産性が低い人の特徴は、全体を俯瞰するプランがなく、ゴールも設定されていないことです。サラリーマンの仕事でも、だいたい「いつまで」という期限は決まっています。でも、「これだけの時間内にこれだけの仕事をやる」ということを意識して、時間を使っている人はあまりに少ない気がするのです。

冷静に考えたら、毎日仕事に割ける時間は決まっているはずです。だからその時間を意識して、プランを立てる必要があります。

今の私の場合、仕事に割く時間は1日に最大でも7時間と決めています。それは自分の人生の中で色々とやりたいことがある中で、仕事に費やせる時間がどれくらいかを計算して出した数字です。週に直すと最大35時間くらいが仕事に割ける時間です。それ以上は絶対に働かないという気持ちでいます。ただ、残念ながら実際にはオーバーすることもあります。

それでも目安としては、そういう?予算?を設定して仕事をしています。そうすると、効率よく仕事が進みます。

お金でも、使うときは上限を定めて、「この予算内でやりましょう」と決めるはずです。それなのに、時間は無限に使えると思ってしまうのは不思議です。お金も時間も同じです。だから、締め切りを決めて、自分で時間を管理し、決めた時間内に決めた仕事を終わらせるプランをつくることです。それが、生産性の高い仕事をする上で不可欠だと思います。

“大トロ”の時間帯を意識する

生産性があがらない人で、意外に盲点になっているのが、自分のコンディションを意識していないことです。私は集中して一人で仕事をするのは午前中と決めています。午前中が一番集中できる時間帯だからです。

午後は集中力が切れるので、人に会ったり、出かけたりする仕事を入れます。自分のコンディションに応じて、そうした配分を上手にしておかないと、生産性はあがりません。

よくあるのが、「この企画書、書くのがしんどいな」とか「報告書をつくるのがたいへんだな」など、ある程度エネルギーを使う仕事を抱えているとき、つい後回しにしてしまうことです。

午前中は何となくやりたくないので、ネットを検索したり、メールを書いたり、グズグズしていて、お昼は、ランチのあとぼーっとウトウトし、夕方くらいに、せっぱつまって重い腰をあげるというパターンがよくあると思います。

サラリーマン時代の私もそうでした。

午前中は前の晩の飲み会でクタクタで、全然仕事をする気が起きません。お昼すぎは、ひたすら睡魔との戦い。ようやくエンジンがかかりだすのは夕方ですが、夜にはまた飲み会が入っていて、「ほとんど仕事をする時間がないっ!」という、まるで生産性ゼロの状態でした。自分のコンディションを見ながら時間配分するのが、生産性をあげるには大事です。

『すぐ動けない人のための時間割仕事術』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

刺身でいえば、午前中は私にとって?大トロ?です。その時間は集中して仕事をする時間にあてています。午後のぼーっとする時間は?赤身?です。そこはデスクワークをしても能率があがらないので、人に会いに行くか、さっさとスポーツジムに行きます。

夕方から夜は、多少疲れてはきますが、締め切り効果も効くので?中トロ?といえます。翌日の段取りを考えたり、メールを返したり、インプットをするなどに適しています。

そんなふうに1日の中で自分のコンディションがどのように変化するのかを考えながら、上手に時間配分していくことが大事です。