今すぐ始めたい「疲れない心と体をつくる」新習慣

すると、血流が悪化し、自律神経が乱れていく負のサイクルに陥りやすくわけです。

体と心を支える技は「リズム」と「運動」

では、どのような対策を取れば、体と心を支えていくことができるのでしょうか。ここでは基本となる2つの技を紹介します。1つはリズム、もう1つは運動です。

自律神経を整えるのには、まず生活に一定のリズムを持つことが役立ちます。

毎朝、通勤していたときを思い出してみてください。前夜に少々飲みすぎたり、夜ふかしをしたりして、「胃がムカムカするな」「眠いな」と思いつつ目覚めても、洗顔、朝食、着替えなどの出勤に向けた準備を行い、家を出て歩き出し、公共交通機関を使ってオフィスに着く頃には、いくらかすっきりした状態になっていたのではないでしょうか。

これは仕事をする日の生活に一定のルーティンがあり、自分なりのリズムが整っていたからです。ルーティンをこなすうち、自律神経の働きが高まっていきます。

少々スタート時点での調子が悪くても、仕事が始まるタイミングではそこそこの状態に戻っている……、そんな変化は誰もが実感とともに体験しているはずです。

ところがテレワーク、リモートワークでは、自分でリズムを組み立て直さなければなりません。職種や職場によってはフルリモートが日常になったり、週に数回の出勤を求められたりと、その形もさまざまです。

テレワークは融通が利く分、逆にリズムが乱れやすくなります。だからこそ、自分でルーティンを決め、リズムを作りましょう。毎日決まった時間に起きて、決まった時間に働き始め、決まった時間にランチを取り、決まった時間に休憩を入れ、終業する……、これが1つめの技となります。

リズムを作るうえで、とくに重要なのが「休憩」です。

私はイギリスやアイルランドで働きましたが、向こうの人たちは16時になると、どんなに忙しくてもティータイムに入りました。あの規則正しさは見習いたいところです。

ある程度、仕事の時間を調整できるのであれば、休憩は短く、頻繁に取ることをお勧めします。というのも、人が1つの作業に集中し続けられる時間は、長くても45分程度だからです。1つの作業を45分やったら、15分の休憩を入れる。その60分のワンセットを繰り返していくと、質の高い集中状態を維持しながら仕事ができるはずです。

そして、15分の休憩中に取り入れたいのが、「運動」です。これが2つめの技となります。

小林教授が実践するのは「スクワット10回」

休憩だからといって、座り続けているとうっ血します。血流を促すために、短時間でもいいので体を動かしましょう。

私が実践しているのはスクワットです。ひざを深く曲げてしゃがむ必要はありません。大腿筋に軽く負荷がかかる程度の“ゆるスクワット”で十分。1回の休憩中に10回やれば、血流は改善されるでしょう。

しかも、1日単位で計算すると、50回以上スクワットをすることになるので、筋力も増やす運動習慣にもなるのです。

スクワットなど、自分の体1つでできる筋トレを習慣化することは、長期的に見ても健康を増進します。特に人間は足腰が弱ると他にも悪影響で出て、一気に老け込んでいくからです。

足腰のなかでも「太もも」と「ふくらはぎ」は、とくに重要です。人間の筋肉の6割以上が下半身に集中しています。なかでも、太ももについている大腿筋はもっとも大きな筋肉です。

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生活習慣病の原因となる内臓脂肪を燃焼するには、基礎代謝量を上げることが必要で、それには筋肉をつけることが1番です。つまり、大きな筋肉である大腿筋を鍛えることは、代謝アップの近道になるのです。

ふくらはぎ(下腿三頭筋)は心臓と同じく血流を促すポンプの役割を担っています。この筋肉を刺激し、伸縮させると重力によって下半身で停滞しがちな血液を心臓に戻す流れを支えることができます。つまり、血流を改善する効果が得られるわけです。

運動量が減りがちな昨今だからこそ、リズムよく休憩を取り、体を動かしましょう。