今すぐ始めたい「疲れない心と体をつくる」新習慣

忙しいときほど意識的にティーブレイクを(写真:Gioia/PIXTA)
仕事や人間関係、家事など、がんばればがんばるほど肩に力が入り、うまくいかなくなる……。こんな経験を持つ人も少なくないかもしれません。まじめな人ほど、周りの目が気になり、肩に力が入りやすいといいます。
「肩に力が入った状態は健康にもよくありません。つねに緊張を感じ、リラックスできません。結果、自律神経のバランスが乱れ、健康を害するのです」と指摘するのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏です。
なぜ肩に力が入ってしまうのか? 力を抜くにはどうすればいいのか? 同氏の新刊『小林教授の肩の力を抜くとすべてよくなる』をもとに解説します。
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2020年来のコロナ禍は、私たちの体調のリズムを崩し、精神的な余裕を奪い、不安を大きくしています。こうした状況では物事がうまく運ばず、気持ちが落ち込みます。それが自律神経に悪影響を与え、余計に肩に力が入るという悪循環につながります。

自律神経が乱れる5つのシチュエーション

私は長年、自律神経について研究しながら、そのバランスが崩れるシチュエーションを観察してきました。その結果、次の5つの状況になったときに、自律神経に乱れが生じると考えています。

①余裕がないとき(時間がないことも含む)
②体調が悪いとき
③自信がないとき
④想定外のことが起きたとき
⑤環境が悪いとき

この5つをコロナ禍にある今の私たちに当てはめてみると、どれも身近にある状況だと気づくはずです。

①余裕がないとき→コロナ禍ではいろいろと行動が制限され、心に余裕がなくなります。
②体調が悪いとき→コロナ禍では程度の差はあれ、少なくない人が体調を崩しています。
③自信がないとき→コロナ禍では過去の経験が通用しない場面が続き、仕事でもプライベートでも判断に自信が持てません。
④想定外のことが起きたとき→コロナ禍そのものが、まさに想定外です。
⑤環境が悪いとき→1日中マスクで口をふさがれ、気軽に外食も旅行もできないなど、生活環境は悪化しています。

こうした状況が積み重なったことで、自律神経のバランスを乱され、副交感神経のレベルが低く、交感神経が優位になっている人が増えています。この「副交感神経の働きが低下、交感神経が優位」というバランスの乱れは、疲れを体に蓄積させます。

というのも、交感神経優位になると血管がぎゅっと縮こまり、血液の流れが悪くなり、免疫力も低下。疲労物質の排出もスムーズにいかず、「どうも調子が悪い」「疲れが取れない」という倦怠感の原因となるからです。

本来、交感神経は喜怒哀楽の感情が動いたときに働きが活発になります。喜んで興奮したとき、楽しくてワクワクしたとき、気分が高揚します。こうしたポジティブな感情による自律神経のバランスの乱れは、心身に心地よい疲れとして残るだけで、大きな問題にはなりません。

しかし、仕事のストレスや家庭内のトラブル、コロナ禍における緊張やいらだちなどによって高まった交感神経優位の状態は、心身に悪影響を及ぼします。

現代社会でストレスを感じずに生きるのは不可能です。しかも、そこにコロナ禍が加わりました。いわば私たちは、朝起きてから眠るまで、「交感神経を刺激し、副交感神経の働きを下げる要因」に囲まれているのです。

だからこそ、不安や不調と自律神経の関係を学び、今の自分の状況を把握していく知識を身につけることが、健康な自分でいるうえで役立ちます。

テレワーク中は出勤していた日々と比べると、打ち合わせや商談などの外出の機会も減り、パソコンやタブレットの前に座りっぱなしの時間が増え、どうしても運動量が落ちてしまいます。出勤するようになっても、商談などはオンラインで行い、運動量が増えない人も多いのではないでしょうか。