TikTokでウケない人とウケる人を分ける決定的差

「面白い」という観点だけで闇雲にやっても伸びません(写真:Yan Cong/Bloomberg)
TikTokというSNSは今こそビジネス活用するのに適している、という中野友加里氏の連載3回目。今回は、前回までに語られた「TikTokのすごさ」ををふまえて、TikTokでどのようなテーマを設定し、どのように動画を投稿していくのがよいか、という具体的な方法論について紹介していく。
果たしてどのような動画が受け、どのような動画は見られないのか。効率よくアカウントを活用していくための方法を、近著『TikTokで人を集める、モノを売る』より一部抜粋、再構成してお届けする。
前回 :「TikTokとYouTube」SNSとして見た時の根本的違い(2022年1月6日配信)前々回:TikTokにはビジネスチャンスが眠ると断言する訳(2021年12月30日配信)

発信者としてのテーマ・方向性を絞る

拙著でも詳しく解説していますが、TikTokに投稿するためにはまずアカウントが必要です。

TikTokアカウントの用意ができたら、次は発信者としてのテーマ・方向性を決めるのが望ましいでしょう。手っ取り早くフォロワーをたくさん欲しがって、人気のあるジャンルで片っ端からアップしようとする気持ちはわかります。しかし、投稿する内容は、最初は1つに絞るのが基本です。

たとえば猫の動画なら猫だけを、ダンス動画ならダンスだけを、無印良品の商品紹介動画なら無印良品の商品だけを投稿していくようにしましょう。もし会社として運営しているアカウントで、会社やサービス、商品の認知の獲得や人材の採用を目指す場合、会社関連の動画だけをあげていき、お店の紹介ならお店関連の動画だけをあげていくのがいいでしょう。

何も知らない人が投稿を見たときに、「〇〇のアカウントだ」とすぐにわかることが重要です。専門性の高いアカウントは、フォローしてもらえる確率も高まります(例:猫動画のアカウントだ→猫のアカウントを探していたのでフォロー)。

これは非常によくあるミスなのですが、まだ認知度が高まっていない段階なのに、複数のジャンルの動画を投稿してしまう人がいます。たとえば、ある日は猫動画、ある日は食事の風景、ある日はダンス動画といった感じです。こうやってしまうと、動画一覧をパッと見たときに投稿に一貫性がなく見えてしまい、何を訴えたいアカウントなのかがわかりにくくなってしまうのでNGです。

投稿者が誰なのかも知らず、パッと見て何が専門のアカウントなのかもわからず、他の人からもさほどフォローされていない(=動画を見続けたらおもしろくなるタイプのアカウントでもない)ようだ。これ、要は単に路上ですれ違っただけの人と一緒になるのです。

目的もなく、ただ路上ですれ違っただけの人のところに立ち止まる人はいません。少なくともある程度の人気が出るまでは、「その人がなぜそこにいるのか」が一目でわかる状態であることが大切です。

モノを売っているのか、猫を散歩させているのか、何かのパフォーマンスを見せたいのか。何をしたい人なのかがわかれば、立ち止まってくれる人もいるでしょう。

これが、たとえば人気YouTuberのように、その人自体が認知されている場合は別です。「この人なら何をしても見たい」と思われるような存在であれば、その人自身を目当てに人が来るので、お客さんは立ち止まってくれるのです。「その人が次に何をするのか」が興味を引くからです。

しかし、そんな背景もなく、普通に最近TikTokを始めた人が、何がしたいかハッキリしない存在として動画を投稿したとしても、注目されることは稀でしょう。