コツコツ投信で「億」築きたい人が守るべき3鉄則

純金融資産1億円以上を保有する「億り人」。彼らは「投資」について、どんな習慣をしているのでしょうか(写真:metamorworks/PIXTA)
日本で純金融資産1億円以上を保有する層は世帯主100人の内2~3人の割合で存在する。元証券マンで、3万人以上の顧客を担当した経済コラムニストの大江英樹氏によると、こうした「億り人」の大半が、相続や一攫千金で財産を得たわけではない、ごく普通のビジネスパーソンなのだという。彼らはどんな思考・習慣・行動をしているのか。3回目の今回は「投資」について。『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』より一部を抜粋して紹介する。

投資信託への投資で守るべき3つのこと

最近は投資信託で資産形成しようという人が増えてきています。昔であれば考えられなかったことですが、初心者は株式よりもむしろ投資信託を使って投資を始めるという人も多いぐらいです。

そもそも投資信託というのは株式や債券をパッケージにして投資するものですから、その中身についてある程度わかっていないと、「自分が何に投資をしているのかがわからないままにお金をつぎ込む」という投資で一番やってはいけないことに陥りかねません。したがって、本来は株式や債券についても勉強し、株式投資も同時に経験することが好ましいと私は思います。

とはいえ、そんな時間的余裕のない人であれば投資信託で資産形成をするというのもありでしょう。そして投資信託の最も大きな目的は分散投資によってリスクを小さくするということですから、自ずと株式への投資とはその扱い方が異なってくるのは当然です。そこを間違えないようにすることが大事です。

投資の目的は「積極的にリスクを取って儲ける」という考え方と「自分のお金の購買力を維持する」というやり方の2つがありますが、若い人で投資信託を使った投資を始めている人はおそらく前者の考え方でしょう。

しかしながら最近よく言われる「草食投資」というのは、どちらかと言えば、積極的にリスクを取るというよりもコツコツと積み立てをして資産形成を図ろうという考え方ですので、前述の2つの目的のまあ中間ぐらいと言ってもいいかもしれません。

いずれにしても投資信託で大きく資産を増やそうということであれば、いくつかの守るべき基本は知っておいたほうがいいと思います。ここではその基本的な考え方を3つの観点からお話ししたいと思います。

最近、投資信託はごく少額でも買えるようになりました。以前は最低でも1万円だったものが、最近では1000円とか100円でも購入することができます。

しかしながら、1000円でも100円でもできるというのは販売業者が心理的なハードルを下げるためにアピールしているうたい文句であって、本当にそんな金額で資産形成なんかできるわけがありません。

仮に毎月1000円ずつ積み立てても年間1万2000円です。10年間で12万円、50年続けても60万円ですから住宅の頭金にすらなりません。あくまでもそういう単位で投資をするのは勉強のため、経験を積むためと割り切らないといけません。

月1万円積立で1億円達成までにどのくらい?

実際、投資信託で資産形成しようと思った場合、最も大切なのは投入する金額です。仮に毎月1万円ずつ積立で投資をし、年利3%で運用できたとしても1億円を達成するには128年かかります。毎月5万円ずつ投入しても68年です。

毎月10万円ずつつぎ込んでようやく1億円に達するのは46年後ですから、かなり気の長い話になります(いずれも現行の税率で計算)。事実、投資信託の積み立てで億り人になった人というのはそれほど多くはいませんが、それらの人に共通することは何と言っても投入額を増やしていったことに尽きます。