「なんだかしんどい」「気が付いたらいつの間にか疲れている」……。こうした悩みを持つビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。筆者は、京都でお灸と養生の治療院を営んでいますが、こうしたお悩みを抱えたお客さんは毎日のようにいらっしゃいます。
この「漠然としたしんどさ」の原因は、多くの場合、特定することが難しいものです。多くの方は、何もアスリートのように日々体に強い負荷を与えているわけでも、不眠不休で仕事を続けていたりするわけでもありません。
ほとんどの人は、各々にとって普通の生活を営んでいる中で、「特にこれといった理由もなく」「気が付いたらいつの間にか」漠然としたしんどさを感じるようになっています。
私たちは、ただ真面目に生活しているだけで、なぜか不思議と疲れてしまうのです。「あなたの不調の原因は〇〇です」とはっきり特定できれば、病院に行ったりできるのでしょうが、なかなかそうはいかない……。そうしたことが、こうしたお悩みの改善を難しくさせています。
でも、あきらめるのはまだ早い! 私たち現代人の多くが抱える“なんだかしんどい”の原因を探るヒントは、意外にも東洋医学にありました。気軽にできる、具体的な解決法とあわせてみていきましょう。
東洋医学の世界観を一言でいうなら「バランス」です。
どういうことかというと、たとえば私たちの体調というのは、まるでシーソーのように、常にゆらゆらと動きながらバランスを取り続けている、ととらえます。「緊張と弛緩」「疲労と回復」「仕事と遊び」……といった具合に。このシーソーのバランスがある程度の範囲内に保たれてさえいれば、基本的に体調を大きく崩すことはありません。
ところが、現実はそうはいきません。私たちは何かというと「頑張る」が口グセになっているし、それを社会から期待されることが多いです。
筆者が見たところ、「なんだかしんどい」というお悩みを持つ人は、基本的にみなさん、「頑張り屋さん」。「頑張りグセ」が染みついている人って、本当に多いのです。もちろん、それ自体はとても素敵なことです。ただし、その人の負担になりすぎない「頑張り」でなくてはいけないと思います。
ちなみに「頑張る」というのは、書いて字のごとく「頑(かたく)なに張る」ということ。つまり、無意識のうちに私たちの体や心は固くなってしまうわけです。それを続けていると、心身の固さは増していき、いずれ体調のシーソーもバランスを乱したまま固まってしまうことでしょう。
筋肉だって、ゆるんだ状態から固くなるときに一番パワーが出るものです。ひるがえって私たちはどうでしょう。頑張り続けて固くなり、いざというときに本来の力が発揮できなくなってしまっては、何とも悲しいじゃあありませんか。
「頑張る」のまま固まってしまったシーソーの反対側に一刻も早く“何か”をのせて、バランスを取り戻さねばなりません。この「頑張る」の対になるのが「養う(養生)」ということ。現代人は「養う(養生)」が決定的に不足しているのです。
「養う」つまり「養生」とは、自分を大事にしてあげる、ということ。でも、これがなかなか難しい。たとえば、あなたもこんな経験はありませんか?