「興味ない仕事」任されて悩む人に教えたい突破口

まったく興味のない仕事を任された場合、どう対処すればよいのでしょうか(写真: jessie/PIXTA)
「一流になるビジネスパーソンになりたいのなら、『主人公思考』を持つこと」。そう話すのは大ヒットゲーム『アイドルマスター』シリーズを600億円もの市場規模に成長させた立役者、バンダイナムコエンターテインメントの坂上陽三氏です。主人公思考とは、一言で言えば「自分事化する」こと。具体的には自分の頭で考え、自分の考えで意見を選択し、行動に移す、ということを言います。
ただし、会社員などの場合、いつも自分が好きな仕事を担当できるわけではありません。その場合、どうすれば自分事化できるようになるのでしょうか。新著『主人公思考』を上梓した坂上氏が解説します。

「理解」から「共感」のフェーズまで行く

仕事では自分が担当している枝葉の部分だけではなく、その先にある「目的」を見据えて動くことが大事。しかし、これは前提条件。「主人公思考」を持った一流のプレイヤーになるためには、その一歩先を目指す必要があります。

仕事の目的はわかった。こう動けば目的達成に貢献できるだろう。これは「理解」です。ここまでは皆さん、それほど苦労せずにできるでしょう。一流のプレイヤーというのはその一歩先を行き、「自分だったらどうしたいか」と考える。目的を理解したうえで、自分の選択を持って行動に移します。

では、このレベルに上がるには何が必要か。ポイントは「共感」にあると考えています。

「主人公思考」を手に入れるプロセス
① 理解
② 共感

「主人公思考」を持っている人は、「理解」で終わることなく、「共感」のフェーズまで行く。「共感」とは何かというと、自分自身が「好き!」「面白い!」と感じることです。

例えば、同じゲームを作るにしても、「ユーザーはこういうのが面白いと感じるんだよね」という「理解」を前提にしている人と、「こういうのがあったら面白いよね!自分だったら徹夜でやっちゃうな」と「共感」を前提に考えている人とでは、生まれるアイデアやアウトプットがかなり変わってきます。後者の人が担当したほうが面白いゲームになりそうなことは、容易に想像がつきますよね。

僕自身も、自分が面白いと感じているものに対しては、「じゃあ次、こういうのやったら楽しいよね」とすぐに具体的なアイデアが降ってくる感覚があります。しかも、感情的にピンと浮かぶ。

また、何か問題が起こったときも、前向きに解決策を検討できるだけでなく、「こうすればもっと面白くなるんじゃない?」とさらに良いアイデアが湧いたりする。こうなると仕事がどんどん進みます。

本当の意味で「自分事化」するには、やはりこの「共感」が大事なポイントになる気がしています。

どこか1つでいいから「好き」「面白い」を見つける

しかし、共感の域に達するのは難しい。本当の意味でここまで行けるのは1割くらいでしょうか。自分が元々好きなジャンルの仕事をするときはいいのですが、いつも好きなものばかり担当できるわけではないからです。

特に会社員の場合は、まったく興味がない仕事や不得意ジャンルを突然任される、ということが珍しくない。今では総合プロデューサーを務めている『アイドルマスター』にしても、プロジェクトに参加した当時の僕にとっては未知の世界でした。

そんなときはどうすればいいか。まずは、先ほどお伝えしたように、その仕事について「理解」することです。それができたら次に、どこか1つでいいから自分が「好き」「面白い」と感じるポイントを見つける。

すべてに共感するのは難しいとしても、たった1カ所でいい、と言われたら見つかる気がしませんか。例えば、「女性アイドル」というジャンルには興味がないけれど、あのアイドルが卒業ライブで言っていた言葉には感動したとか、アイドルとしての彼女はよく知らないけれど、雑誌で紹介していた私服がすごくかわいかったとか。そういう経験なら比較的、誰にでもあるのではないかと思います。