日本企業がGAFAに立ち向かうための「必須条件」

背景にあるのは、IPO時の公開価格が過小に設定されることで、起業家の資金調達額が国際的に見て少なくなっているというデータだ。そのため、公開価格設定プロセスの透明化や、買収時にスタートアップと投資家が納得した形で合意し公開価格を決めるSPAC(特別買収目的会社)制度を導入するという議論が、関係機関を巻き込み始まっている。

SPACについては米国で「技術力を誇大に宣伝して投資家を欺いた疑いがある」として、詐欺罪で起訴されたケースもある。導入には慎重な議論が必要だが、選択肢として浮上していること自体がスタートアップに対する期待の表れといえるだろう。

株価の面でも期待はある。大和証券の壁谷洋和・投資情報部長兼チーフグローバルストラテジストは、「TOPIX(東証株価指数)の予想PER(株価収益率)は約14倍の一方、米国の代表的な株価指数・S&P500の予想PERは約21倍で、通常は3~4ポイントの開きが7ポイント程度の状況が続いている。日本株は相対的な割安水準にあるほか、経済活動の再開も出遅れたため、米国よりも株価の伸びしろが大きいのでは」と指摘する。

また、FRB(米連邦準備制度理事会)は11月からテーパリング(量的緩和の規模縮小)に着手しているが、「金利の上昇局面では、GAFAMのようなハイテク・グロース株よりも景気敏感・バリュー株が優位になる傾向がある」(壁谷氏)という。

日本経済の活力は民間企業に懸かっている。

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