この例の場合、上司はあなたの意見を受け止め、理解と共感を示した上で、
「ただ、自分はこう思うが、どうだろうか?」
と呼びかける形で自分の意見を伝えています。
一方的に意見を押し付けるのではなく、相手を納得させること。それによって、プロジェクトの進み方も変わってくるはずです。
また、ワンポイントとして、反対意見を述べるときは、「しかし」でつなぐのではなく、「ただ」を使うと、否定のニュアンスが薄れて、相手の抵抗感も弱くなります。
人は、「自分の話を聞いてくれる人」に好意を抱くことがわかっています。
「話を聞いてくれる人」=「自己重要感を満たしてくれる人」だからです。
自己重要感とは、「重要な存在であると思われたい」「自分のことを認めてほしいという欲求のこと。
逆に言えば、相手のことなどお構いなしに、自分の話ばかりする人は、間接的に、相手の自己重要感を下げることになるのです。
今回の100冊の調査でも、もっとも多くの本に書かれていたポイントは、「会話は『相手』を中心に」でした。
会話には、必ず相手が存在します。
自分本位にならない。独りよがりにならない。相手を中心に進めると、会話は弾むようになります。
では、自分の話ばかりをしないで、相手ときちんと会話をするには、「話す」と「聞く」の割合をどのくらいでイメージしておくとよいのでしょうか?
名著で紹介されていた意見をまとめると、
・話す(自分の話)…2、3割
・聞く(相手の話)…7、8割
がひとつの目安です。
この割合だと、「相手の話を聞いてばかり」と思うかもしれませんが、客観的にその会話を見ると、両者が半々で話しているような印象です。
「話し上手は聞き上手」ということわざがあるように、「話す」より「聞く」を大切にしたほうが、会話は弾みます。
上司と部下、正社員・契約社員・パート社員、発注者と受注者など、責任や役割・立場の違いで関係性や態度を変える人がいます。
しかし、役職や肩書、年齢は上下関係を示すものではないため、「○○が××よりもエライ」わけではありません。
対等な関係とは、「お互いが敬意を持つ関係」のことです。
どんな関係性の相手とも、敬意を持ち合い、対等な関係を築きましょう。
「おまえの考えも聞きたいから、メシに連れていってやるよ」
「今回のプレゼン、まあまあだな。もっと○○しろよ」
たとえば、上記の2つは、「上から目線の言葉」です。
人は、強すぎる命令や、一方的な評価を嫌います。
「命令」ではなく「確認」する。「評価」ではなく「提案」する。
それだけで、多くの人は要望や意図を理解できます。
テレビのバラエティ番組等で専門家がコメントをする際に、何を話しているのかを理解できないことがあります。
おもな理由は、
「難解な専門用語が頻出している」
「前提となる知識が相手(視聴者)にない」
からです。
テレビの場合は、話し手(出演者)と聞き手(視聴者)が明確に分かれる一方的なコミュニケーションですが、会話は、話し手と聞き手が入れ替わる、双方向のコミュニケーションです。
自分が話しているときにも、相手からの共感のサイン(=「相づち」や「うなずき」)を見て、相手の理解度を把握するようにします。
また、何について話すのか(話題)や、結論を最初に伝えるようにすると、相手にも理解の土台ができるため、理解度が高まります。
会話は、人間関係構築のかなめです。
4つの共通点からの学びを活かし、信頼され、好かれる人の話し方を身につけていきましょう。