今のYouTubeで抜群に稼ぐ動画の知られざる特徴

「公認切り抜きチャンネル」は忙しい人にとってありがたいコンテンツである一方で、文脈を無視した切り抜きやセンセーショナルなサムネイルで再生数を稼ごうとするチャンネルも存在します(多くが非公認もしくは黙認)。そのため、原作者はディスブランディングにならないよう、チャンネルとの信頼関係が重要になってきます。

UUUM社による所属クリエイターの切り抜き動画を解禁する流れもあり、今後もこの原作者・二次創作者によるコンテンツの拡散の流れは広がるでしょう。

2021年上半期の急成長クリエイターについて触れていきましょう。この上半期、ある「エンタメ企画系」女性クリエイターが急激に人気を伸ばしました。「エンタメ企画系」に振り切った女性クリエイターは実はそんなに多くはありません。

これまで女性クリエイターは「ファンのロールモデル」になるキャラクターが伸びる傾向にありました。そしてそこには「モーニングルーティン」「What’s in my bag」「Get Ready With Me(通称GRWM)」「まいにちメイク」「購入品」と、あげればキリがないくらいにミーム(お題)が存在し、多くのクリエイターが確立されたミームを使い回す特徴があります。これは、ファンが「○○ちゃんのモーニングルーティンがみたい」という風に「一通りのミーム」の投稿をむしろ期待していることによります。ミーム投稿は飽和や停滞ではなく需給の一致として見るべきでしょう。

そんな中、りほ・にこの女性2名によるクリエイター「平成フラミンゴ」は、徹底的に「エンタメ」に振り切った企画で2021年上半期に急速に成長しました。

10月に100万人を突破した「くれいじーまぐねっと」は同じく女性クリエイターユニットですが、彼女らは「爆食い」という強力な武器を持っています。一方「平成フラミンゴ」は「必殺技」を特に作ることなく、自称「アラサーババァ」のブランディングのもと、ひたすらに面白い企画を実行し続けるというスタイルであることが特徴的です。

2020年の下半期には「地元ノリを全国へ」をかかげる男性グループ・コムドットが100万人を突破しました。2021年の上期を見るに、面白いことを、誰に媚びることもなく、男同士・女同士の「ノリ」でワイワイやっている姿が求められているのかもしれません。

リアクション動画の輸入と流行と「考察・解説」

上期といえば「プロ野球シーズンの開幕」でもあり、YouTubeでも野球に関連した動きは活発になります。2021年はMLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の活躍で「朝起きたら今日の試合のホームラン動画があがっている」という日が続いていましたがNPBでは阪神タイガースの優勝争いにまつわる動きがありました。

昔からニコニコ動画などで存在していたフォーマットですが「試合を見ている様子」をライブ配信し、チャット欄で共に盛り上がるというスタイルのチャンネルが伸びました。権利の都合で試合中継は「各自で見る」という形式をとりながら、いわば「野良の解説者」のもとに集まってチャットで盛り上がっているのです。球場でワイワイ観戦することが難しくなった今、新しい楽しみ方としてYouTube配信が活用されているとも言えるでしょう。

これらのスタイルは「リアクション動画」として大きく括ることができます。リアクション動画は2016年ごろから海外を中心に流行し、2018年ごろから日本のクリエイターが取り入れ始めたフォーマットです。

代表的な国内事例では、2020年、ヒューマンビートボックスのアジアチャンピオン・HIRO氏とFuga氏によるチャンネル「Rofu」にて、ヒカキンのヒューマンビートボックス動画に言及し「現役ビートボクサー」の知見を交えて解説する動画が投稿され大きく伸びました。日本人が日本語でリアクション動画を作る場合、海外クリエイターのように「ただ見て反応する」だけではなく、専門的な知見など「その人がやる意味」が明確であることが重要です。