今のYouTubeで抜群に稼ぐ動画の知られざる特徴

視聴者に支持されるクリエイターの特徴とは?(写真:Gabby Jones/Bloomberg)
2021年上期も多くの動画が投稿されました。この半年間のYouTubeの動向について、YouTube作家として活動する「こす.くま」の代表作家である「すのはら」と「たけちまるぽこ」がYouTube作家独自の視点を交えて解説します。

YouTubeショートを活用したクリエイターの台頭

2021年7月、日本でも「ショート」のベータ版がYouTube公式アプリに搭載されるアナウンスがされ「短尺動画」を活用するクリエイターが増えました。

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ショートは最大60秒の縦長動画のみを投稿・視聴できる機能です。独自のアルゴリズムによって動画がピックアップされ、ユーザーはまだチャンネル登録していないクリエイターとの新たな出会いのきっかけになります。

このショートは、「短尺動画」という点ではTikTokやInstagram Reelsと似通っていますが、大きな違いがあります。他媒体とは異なり最終的にはチャンネルそのもの(=長尺動画)に興味を持たせ、チャンネル登録につなげる必要があることです。この流れがうまくいかなければ、ショートは再生数が回っているのにチャンネル登録者数が伸びないこともよく起こります。

この「短尺動画と長尺動画」をうまく繋いだクリエイターが「Kevin’s English Room」です。メンバーの語学にまつわるバックグラウンドを活かし「海外と日本の言語に関する感じ方の違い」などをコミカルに発信するかけ・ケビン・やまの3人組。彼らは2021年2月に20万人、6月に30万人を突破というペースで成長していましたが、この半年の間にショートを活用し、10月現在は80万人突破を目前にするなど急速な成長を見せています。

作りとしては「英語や日本語の細かいニュアンスの違い」など、語学にまつわる知識をネイティブ目線で面白おかしく描き、詳しい解説は本編で!という流れになっています。

ポイントは、もったいぶらないこと。ショートでは情報を隠し、本編で全て見せるのではなく、ショートはショートとして完結していながらも、なお付随コンテンツを見たいと思わせる作りになっています。新機能をハックするのではなく、企画としてもコメディとしてもハイレベルであるというところが純粋に評価されていると言えます。

この「ショート」に絡めて「公認切り抜きチャンネル」の動きも見逃せません。「切り抜きチャンネル」とは、1時間を超えるような超長尺動画の中から、名シーン・名言をピックアップして数分の動画に編集・投稿する「切り抜き動画」専門のチャンネルのことです。

これらの短尺動画はショートに流用されることも多く、2ちゃんねる創業者の「ひろゆき」や、ゲーム配信者の「加藤純一」「もこう」「釈迦」など長尺の生配信を行うクリエイターがよく切り抜きの対象になっています。他にも2021年はイベントが生配信に置き換えられることが当たり前になったこともあり、切り抜き動画は多く上がっています。

ポイントは“公式”ではなく、“公認”であること。本人や所属事務所ではなく、第三者による編集・運営がなされているのです。一昔前であれば転載・編集・加工はNGとされていた行為ですが、現在はYouTubeの機能を活用することで合意のもとで実施されるようになっています。

切り抜きによる二次創作は原作者にも利益還元

YouTubeに投稿された動画は「Content ID」というパラメータを持たせられます。これを活用して「原作」と「二次創作物」を紐づけることで、原作を明示的にするとともに二次創作物の広告収益を原作者と按分することが可能になるのです。つまり切り抜きによる二次創作は原作者にも利益の還元が発生するという仕組みになっています。そこで「公認」という流れができているのです。