意識的して副交感神経を働かせ、交感神経を休める必要があります。そのためには、散歩をするのもいいですし、野菜を切る、洗濯物をたたむなどの単純な作業も効果があります。マインドフルネスや瞑想も、脳を休めることにつながっています。
カウンセリングでも、「周りに振り回される」という方には、ネットの閲覧時間を減らし、ニュースを見るのをやめるなど、情報から離れましょうとお伝えすることがあります。情報から離れると、少し落ち着くんですね。
SNSの使い方にも工夫が必要です。ホーム画面に滞在していると、次から次へと情報が飛び込んできて、頭が忙しくなります。本当につながりたい人とだけつながる、読んで元気が出る投稿だけを選んで見るなど、情報を絞ることをおすすめしています。
カウンセリングには、「いまの会社が自分に合っていないのはわかる。でも、自分が何をやりたいのかがわからない」という方が多くいらっしゃいます。
このとき、自分のやってきた仕事のなかで「ここが嫌だった」という点ばかりを見ても、自分に合う仕事を見つけることができません。
カウンセリングでは「これまでの仕事で、つい集中してしまう業務は何ですか」「漠然とでもいいので、この仕事ができたらいいなと思うものはありますか」といった質問をして、相談者さんと一緒に、情熱の湧く対象を見つけていきます。
繊細さんからは、「自分の感性を生かして仕事したい」という言葉をよく聞きます。この場合も、過去の経験にヒントがあります。これまでの業務だけではなく、学生時代のアルバイトやプライベートも含めて、やりがいを得られたことや、集中していたこと、つい考えてしまうことなどを思い出していただくんです。充実した経験のなかに、その人ならではの感性が働いているものです。質問を通して、自分ならではの感性に気づいていただくようにしています。
『モンク思考』には、見つける、止まる、切り替えるといった言葉が何度も出てきますが、これは、まさに「繊細さん」に必要な感覚です。
繊細さんは、周りの人のニーズを感じ取り、半自動的に動くことがよくあります。相手の状況にもよく気づくので、「そろそろお茶を飲みたいんじゃないかな」「忙しそうだから、やっておいてあげよう」と先回りして動き、それらが積み重なって、自分ばかりが忙しい状態に陥ってしまうのです。
ですから、気づいたことに半自動的に応答するのではなく、一度立ち止まって、自分はそれをやりたいのか、やる余裕があるのかを考えるとよいでしょう。
たとえば、同僚の仕事が大変そうだと気づいたとき、「手伝おうか」と声をかける前に一呼吸おいて、「本当に手伝いたいのか、手伝えるだけの余裕があるか」を考えるのです。
『モンク思考』には、押し流されるのではなく、「見つける」「止まる」「切り替える」という行為によって、それが自分の価値観なのかどうかを具体的にチェックするエクササイズも紹介されています。
これらは、私がみなさんにお伝えしていることとよく似ています。古代からの僧侶の教えも、現代のカウンセリングやキャリアコンサルティングも、使っている言葉は違えど、根底は同じことを伝えているのかもしれませんね。