「繊細さん」も心がスーッと軽くなる僧侶の思考法

拙著『繊細さんが「自分のまま」で生きる本』(清流出版・2019)に詳しく書いていますが、繊細さんは、周りのニーズをくみ取りやすいだけに、会社でも頑張り続けて体調を崩してしまうことがあります。

そういうときは、まずは「休む」ことが必要です。これは『モンク思考』でいう、現状を「手放す」にあたります。

休むことへの焦りや罪悪感が出ることもあるのですが、自分に合う仕事にたどりつくためにも、しっかり休むことが大切です。自分のペースで好きなように過ごしながら、何がうれしくて、何が悲しいのか、自分の感覚を思い出していく必要があるのです。

目の前の仕事に追われていると、いつのまにか会社の価値観と同化してしまいます。会社の価値観が自分の価値観を侵食してしまうと、「嫌だ」「疲れた」という感覚さえぼやけてきます。ぼんやりとしたつらさを感じながら何年間もずっとそのまま、という状態になってしまう。

自分に合う仕事をみつけるには、自分本来の感覚を取り戻す必要があります。そのためには、立ち止まって休む時間が必要なんです。忙しいまま転職活動をすると、どうしても、いまの会社に求められていることが染みついていて、本心からそれをやりたいのかを見分けにくい。

仕事を休めない場合もありますので、そんなときは少しでも残業を減らしたり、就業中の仕事のペースを落として頑張りすぎないようにするなど、仕事と心の距離をとることをおすすめしています。

いまの仕事が合わなくて変えたいとき、必要なのは、「つらい」とはっきり認識し、行き詰まり切る、ということです。「嫌だけど何とかなっている」という時が、いちばん動けないものです。「こうすべき」という思考の奥にある、「もう嫌だ」という本音をつかむことが重要で、カウンセリングでも大切にしています。

本音をつかむには、空いている時間をみつけて、好きなことをするといいですよ。たとえば、週末に、好きだった手芸を再開してみるといったことです。すると、合わない環境で過ごす時間がどれだけ負担になっているかがわかります。「もうこんなのは嫌だ」とはっきり自覚することで、辞める踏ん切りがつく、という変化も起きます。

これまでの価値観と距離をとり、好きなことをする時間をとるなかで、「そう言えば、自分はこれが好きだったな」「昔から文章を書くのが得意だったっけ」「人を応援したい気持ちがあるな」など、本来の自分を思い出していきます。休んで、遊んで、自然体の自分が出てきた段階で転職活動をすると、自分に合う仕事をみつけやすいです。

ネガティブ人間との接し方

『モンク思考』には、繊細さんに活用していただきたいことがたくさん書かれています。

ネガティビティについての章で紹介されていた、「ネガティブ人間1人につき、ポジティブ人間3人と付き合うようにする」という方法など、現代らしく取り入れやすいと思いました。

「ネガティブ人間と付き合うのはやめましょう」と言われても、現実には、そうはいかないこともありますよね。同居している親御さんなど、ご家族が愚痴ばかり言う場合もあるからです。

そんなときでも「ポジティブな人間3人といるようにする」という考え方は、取り組みやすいと思います。繊細さんの場合は、SNSで共感できる人を3人見つけるなどもいいですね。ブログやツイッターで「#繊細さん」「#HSP」など、ハッシュタグで検索すると仲間を見つけやすいです。同じ悩みを持った人とつながり、コメントのやりとりに励まされているという繊細さんもいます。

繊細さんは、相手の気持ちを受け取るのが上手な人が多いんですね。むやみに否定せず、寄り添って話を聞くという姿勢を持っている。すると、困っている人や、愚痴を言う人が寄って来やすいという面があります。「これ以上は聞けない」という線引きなしに受け入れていると、相手に依存されてしまうことがあるんです。