世の中にはどれだけこちらが親切にしても、まったく見返りのない人がいます。たとえば、テイカー(Taker)といって、give&takeのtakeしかしない、つまり他人から与えてもらうことばかり考えている人がいます。
残念なことに、自分を後回しにしてテイカーを優先すれば、それを当たり前だと思い感謝もされません。そういう人と付き合い続けるのは自分を消耗させてしまいます。
もしあなたの身近にテイカーがいたら、なるべく関わらないほうがよいと思います。たとえテイカーに何かをお願いされても、あなたにとってあまりにも負担の大きな要求だったとすれば、それはできないとはっきり断ることをお勧めします。
「とはいえ、自分を優先してわがままになっていたらテイカー以外の人からも印象を悪くするんじゃないか?」と気になる人もいるかもしれません。たしかに、わがままばかり言うのはよくないですが、自分の意思をはっきりさせることはよい人間関係を作るきっかけになります。
心理学では「自分で自分を扱うように、他人も自分を扱う」と言われています。つまり、自分で自分を大切に扱うことで、他人も自分を大切にしてくれるということです。
「人に迷惑をかけちゃいけない」ではなく、「迷惑をかけるのは当たり前なんだからお互い様」と考えてみると、自分の負担も減り人間関係もよくなっていきます。心当たりのある人は試してみてください。
相手の意見を否定すると傷つけて嫌われるんじゃないかと心配になったりしますよね。だから「相手の意見に合わせておかなきゃ」と言いたいことがあっても言わないままにしてしまう。
ですが、人間関係においては自分の意見をしっかりと持っておいたほうが好感を持たれやすいといえます。
もし、あなたの意見に対して何でも「Yes」と言う人がいたらどう思うでしょうか。最初のうちは「自分と意見が合う人なんだな」と好印象を持つかもしれません。
ですが、いつもYesと言われることが続くと、相手に対して「あなたの意見はどうなの? 本当はどう思っているのか聞かせてほしい」と思うのではないでしょうか。自分の意見を持たず「ただこちらに合わせていればいいと思っているんじゃないの?」とその人の言葉を信用しづらくなってしまうかもしれないですよね。
また、もしあなたが何かのコミュニティーに属していれば、メンバー間の意見が対立することも珍しくありません。そのとき、Aさんの前ではAさんの意見を支持しているのに、Bさんの前でBさんの意見を支持するというつじつまの合わないことをしていたらどうなるか。
そうやって不自然に意見を合わせていると、「あの人は人を見て態度を変えている」と思われて、印象が悪くなる可能性があるんです。それってすごくもったいないですよね。
でも「やっぱり相手と違う意見を言うと相手の機嫌を損ねて印象を悪くするんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。ですが、こういう心配はあまりしなくてもいいと思っています。
心理学には「一貫性の原理」というものがあります。これは、人は「この人はこう考えているだろう・行動するだろう」というふうに予測がつく人のほうが好かれるし信頼されやすいという傾向です。
自分の意見やスタンスを明確にしているほうが、「自分もそう思う!」とあなたに共感してくれる人が集まってきてくれます。逆に「あのときこう言ってたじゃん!」と他人に言われるくらい言動に矛盾が出るほうが信頼を損ねてしまいます。だから無理に相手の意見に合わせる必要はないんです。自分が違うと思うことは違うと伝えても大丈夫なのです。